吹き抜けは後悔する?家アカ100軒データが示す「平屋は18%しか選ばない」現実と、寒くならない家の共通点【2026年版】

吹き抜けのある明るいリビング|大きな窓で採光を取る間取り

吹き抜けは「後悔した設備」の代表格のように語られます。寒い、音が響く、においが上がる。検索すれば必ずこの3つが出てきます。ただ、それが本当に建てた人の実感なのかを数字で示している記事は、ほとんどありません。

そこでいえスタ編集部は、実際に注文住宅を建てた家アカ163軒分の取材記事をすべて読み直し、集計しました。結論から3つだけ先に書きます。

  • 吹き抜けを採用したのは100軒中55軒。多数派です。ただし2階建ての70%が選び、平屋は18%しか選んでいません
  • 吹き抜けのある家とない家で、延床の中央値は34坪と32.5坪。差はわずか1.5坪で、「広い家だから吹き抜けにできた」わけではありませんでした
  • 後悔と満足を分けていたのは吹き抜けの大きさではなく、断熱と空調を吹き抜けと同時に決めていたかどうかでした

以下、実際の集計値と、打ち合わせの前に決めておく数字までまとめます。

目次

吹き抜けの採用は100軒中55軒。ただし「広い家の贅沢」ではなかった

まず採用率から。家アカ163軒のうち吹き抜けに言及していたのは89軒、100軒に換算して55軒です。過半数が採用しているので、「珍しい選択」ではありません。

意外だったのは延床面積です。吹き抜けのある家の中央値は34坪、ない家は32.5坪。差は1.5坪しかありませんでした。全体の中央値が33.5坪ですから、吹き抜けを入れた家が特別に大きいわけではないということです。

実際、26坪で吹き抜けリビングを主役に据えた家(@yitiaonojiaさんの2LDK・26坪)も、19坪の狭小地に3階建てで吹き抜けを通した家(@ran_home19さんの4LDK・29坪)もありました。むしろコンパクトな家ほど、床が足りない分を縦方向で取り返しに行っている印象です。家の広さで後悔したのはどこかの集計とあわせて読むと、この傾向はよりはっきりします。

勾配天井のLDK|平屋の開放感は屋根の形でつくる
平屋は吹き抜けより勾配天井が多数派

分かれたのは坪数ではなく階数。平屋は18%しか吹き抜けを選んでいない

採用・不採用をいちばんきれいに説明できたのは、坪数ではなく階数でした。

階数集計軒数吹き抜けあり採用率
2階建て100軒70軒70%
3階建て7軒6軒86%
平屋39軒7軒18%
いえスタ編集部が家アカ163軒の取材記事を集計(2026年8月時点)

2階建てでは7割が選び、平屋では2割を切ります。当たり前のようですが、これは「吹き抜けを検討する意味がある人」を絞り込む数字でもあります。平屋を考えているなら、吹き抜けの寒さ記事を延々と読む必要はほとんどありません。

では平屋はどうやって開放感を出しているのか。集計すると平屋39軒のうち10軒(26%)が勾配天井に言及していました。吹き抜けの7軒より多い。平屋の開放感は「2階の床を抜く」のではなく「屋根の形をそのまま室内に見せる」で解かれています。勾配天井の和モダン平屋(@chacos_homeさん・32.5坪)では、勾配の角度についてこんな指摘がありました。急勾配は迫力が出る一方で上部に暖気がたまり、冷暖房効率が落ちて照明計画も難しくなる。緩やかな勾配なら影響は小さい、と。

つまり平屋でも「縦に抜く」を選べば同じ課題が来る、ということです。平屋と2階建ての比較平屋の間取り実例10選もあわせてどうぞ。

大きな窓のある吹き抜けリビング|断熱と空調をセットで考える
吹き抜けの寒さは断熱性能で決まる

後悔の分かれ目は吹き抜けそのものではなく「同時に何を決めたか」

ここが今回いちばん強く出た差です。吹き抜けのある家89軒とない家74軒で、温熱・空調まわりの言及率を比べました。

項目吹き抜けあり(89軒)吹き抜けなし(74軒)
シーリングファン26%4%
全館空調・エアコン1台運用33%14%
床暖房29%19%
高気密・高断熱・C値/UA値への言及75%64%
いえスタ編集部が家アカ163軒の取材記事を集計(2026年8月時点)

シーリングファンは6.5倍の開きがあります。全館空調も2倍以上。吹き抜けを入れた家は、吹き抜けと一緒に「空気をどう回すか」を決めていたということです。逆に言えば、吹き抜けだけ先に決まって空調が後回しになった家が、寒い暑いで苦しむ側に回ります。

実際、断熱にも空調にも一切触れていない家が89軒中15軒(17%)ありました。この15軒が全員後悔しているとは言えませんが、家づくりの語りの中で温熱の話題が一度も出てこないのは、標準仕様のまま流れた可能性が高いゾーンです。

逆側の例として、北海道で南向きの大開口と吹き抜けという「寒冷地では不利」とされる組み合わせを選びながら、暖房エアコン1台で暮らしている家(@_3310_home_さん・31.5坪)があります。窓は壁より熱が逃げ、吹き抜けは暖気を上に持っていく。それを承知のうえで断熱性能を先に固めた結果です。長野で吹き抜けリビングを主役にした31坪の家(@kaede_ichijoさん)も、太陽光と蓄電池をセットで組んでいます。

寒さは吹き抜けの性質ではなく、断熱性能の結果です。つけて後悔した設備・よかった設備でも同じ構図が出ていました。

「音」「におい」は、思ったより語られていない

吹き抜けの記事で必ず立つのが音とにおいの章です。実際の言及率はこうでした。

  • 音(生活音・響く・音漏れ)に触れた家:吹き抜けあり89軒中14軒=16%
  • においに触れた家:89軒中13軒=15%
  • 暑さに触れた家:89軒中19軒/寒さに触れた家:38軒

音とにおいは6軒に1軒程度。ゼロではないので無視はできませんが、「吹き抜けにしたら必ず音で困る」という書かれ方とは温度差があります。一方で寒さ・暑さは半数近くが何らかの形で触れており、優先順位としては温熱がはっきり1番でした。

ただし、音を理由に採用しなかった家も実在します。40坪・4LDKの北欧ナチュラル住宅(@yui___life__さん)は、リビング階段と吹き抜けの両方に憧れながら、音の伝わりやすさと冷暖房効率を理由に「あえて不採用」を選びました。同じように吹き抜けを見送った判断が明記されていたのは100軒中2軒。少数ですが、理由がはっきりしている分だけ参考になります。

子ども部屋の位置や寝室の配置とセットで考えたい人は、子供部屋の間取りもあわせて読むと判断しやすくなります。

階段まわりの吹き抜け|2階の床を抜いて縦の抜けをつくる
吹き抜けは2階の床を何帖捨てるかで決める

吹き抜けは畳数ではなく「2階の何を諦めるか」で決める

「吹き抜けは何畳必要ですか」という質問には、正直あまり意味がありません。実データを見ると、畳数を明記していた家は4帖から10帖まで幅がありました。

この幅は、家の大きさというより2階のどこを捨てられたかで決まっています。吹き抜けは床を抜く行為なので、抜いた分だけ2階の部屋が消えます。1帖は約1.62平方メートル=約0.49坪。4帖なら約2坪、10帖なら約4.9坪の「2階に置けたはずの床」がなくなる計算です。

だから決め方の順番はこうなります。①2階に必要な部屋を先に全部置く → ②余った床のうち、リビングの上に来ている部分だけを抜く → ③その結果が何帖かを確認する。畳数から入ると、あとで納戸や書斎の置き場所が消えます。

見積もりで必ず聞く「吹き抜け部分の床面積の扱い」

吹き抜け部分は建築基準法上の延床面積には算入されません。ところが会社の見積もりでは、施工床面積として一部または全部を計上するところがあります。ここの扱いは会社ごとに違うので、「吹き抜け部分は御社の見積もりで床面積に入りますか。入るなら何割ですか」と初回の見積もり段階で聞いてください。同じ間取りでも総額が数十万〜100万円単位で変わります。

各社の考え方の違いは工務店とハウスメーカーの違いで整理しています。費用感は注文住宅の費用相場と予算の立て方を参照してください。

吹き抜けと相性が悪かったのは、意外にも「回遊動線」

吹き抜けのある家とない家で、間取りの他の要素も比べました。ほとんどの項目で吹き抜け組が上回るなか、1つだけ逆転していた項目があります。

要素吹き抜けあり吹き抜けなし
広いリビング63%41%
大きな窓・大開口43%30%
アイランドキッチン44%32%
ファミリークローゼット63%51%
中庭22%16%
回遊動線49%53%
いえスタ編集部が家アカ163軒の取材記事を集計(2026年8月時点)

回遊動線だけがわずかに下がります。理由は単純で、どちらも1階の床を使うからです。ぐるりと回れる通路をつくるにも床が要り、吹き抜けを気持ちよく見せるにも周囲の余白が要る。同じ1階の面積を取り合っています。

どちらを優先するかは、家事の負担がどこに集中しているかで決めてください。判断材料は失敗しない生活動線の間取り家事ラク動線の家 実例10選にまとめています。

もう一点。競合記事では「吹き抜け×リビング階段」がセットで語られますが、実際に両方を採用していたのは89軒中7軒(8%)だけでした。ハーフ吹き抜けにいたっては100軒中2軒です。定番の組み合わせとして語られているほど、現場では選ばれていません。

吹き抜けを「採光」として使った家がいちばん納得している

集計していて印象的だったのは、開放感よりを理由に挙げる家が多かったことです。吹き抜けのある89軒のうち25軒が、吹き抜けと窓をセットで語っていました。

南に大きな窓が取れない土地、旗竿地、隣家が近い都市部。こうした条件では、吹き抜けは贅沢ではなく採光の手段になります。逆に南面が大きく開けている土地なら、吹き抜けなしでも十分明るくなるので、優先度は下がります。土地の条件から考えたい人は吹き抜けのある家 実例10選で実際の窓の取り方を見てみてください。

打ち合わせ前に決めておく5つの数字

  1. 断熱性能の数値——UA値・C値を数字で確認する。吹き抜けの寒さはここで決まります
  2. 冷暖房の考え方——エアコン何台で何畳を担当するか。全館空調にするかを吹き抜けと同時に決める
  3. シーリングファンの有無と電源位置——後付けは天井の配線工事が必要。採用率26%の家はここを最初に決めています
  4. 照明と窓の掃除・交換方法——高所の電球交換と窓拭きを誰がどうやるか。足場が要るなら建てる前に確認
  5. 吹き抜け部分の床面積の扱い——見積もりに何割入るか。会社ごとに違います

この5つは、間取りが固まってからでは変更に費用がかかる項目ばかりです。逆にいえば、最初の打ち合わせで出してしまえばほぼ無料で解決します。打ち合わせでやっておけばよかったこともあわせてどうぞ。

結局、吹き抜けは後悔するのか

100軒中55軒が採用していて、そのうち83%が断熱か空調のどちらかを一緒に考えていました。「吹き抜けは後悔する」ではなく、「吹き抜けだけ先に決めると後悔する」が実データに近い表現です。

そして平屋を検討しているなら、吹き抜けより勾配天井のほうが現実的な選択肢でした。2階建てで、南面が塞がっている土地なら、吹き抜けは採光の解決策として強く効きます。ここまで絞れれば、あとは自分の土地と予算の話です。

他の後悔ポイントもまとめて確認したい方は家アカ100軒に聞いた後悔TOP10/やってよかったTOP10、間取り全体の考え方は間取りで後悔しやすい7つのポイントリビングの間取りをどうぞ。似た条件の家を探すなら間取りタイプで探すが早いです。

断熱性能や空調の考え方は、会社によって本当に差が出るところです。吹き抜けを入れたいと思っているなら、気になる会社の資料を2〜3社取り寄せて、UA値やC値の記載を見比べてみてください。無料で、しつこい営業もありません。

吹き抜けを入れた場合の間取りを、無料で取り寄せる 断熱の仕様と合わせて提案してもらうと、後悔しない判断材料になります

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