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北海道で、真冬の暖房がエアコン1台。夏の冷房も1台。@_3310_home_ さんの家は、南向きの大開口と吹き抜けという「寒冷地では不利」とされる要素を持ちながら、光熱費に怯えずに暮らしています。性能が先にあるから、間取りが自由になった——そういう順番の家です。
北海道の家づくりでは、大きな窓と吹き抜けは長く「憧れるけれどリスクのある選択」とされてきました。窓は壁より熱が逃げやすく、吹き抜けは暖気を上へ持っていく。断熱性能が並の家でこれをやると、冬に足元が冷え、暖房費が跳ね上がります。
この家はその前提をひっくり返しています。南向きの大きな窓、開放的な吹き抜け、そして3mある窓辺のベンチ。それでいて暖房は寒冷地向けエアコン1台。太陽光+蓄電池のオール電化で、「電気代に怯えることがない」と本人が書いています。
これは設備の話ではなく、順番の話です。高気密高断熱を先に確保したから、開口部と吹き抜けを自由に設計できた。逆ではありません。いえスタ編集部はこの家を「性能で間取りの自由を買った家」と読みました。順に見ていきます。
施主のこだわりポイント
南向きにある大きな窓、開放的な吹き抜け、3mはある窓辺のベンチは使い方色々です。
寒暖差の激しい地域ですがズバ暖1台で真冬も暖かく夏も冷房エアコン1台でも快適です。太陽光発電+蓄電池、高気密高断熱のおかげで電気代に怯えることのないオール電化住宅です。
— @_3310_home_ さんの投稿より、編集部が引用
編集部メモ:この家を一言で言うと
「性能を先に決めたから、間取りが自由になった家」。
家づくりの打ち合わせでは、たいてい間取りが先に決まり、性能はあとから予算に合わせて調整されます。この順番だと、大開口も吹き抜けも「寒くなるのでやめましょう」と削られていきます。
この家は逆です。高気密高断熱という土台を先に置き、その上に南向きの大開口と吹き抜けを載せている。結果として暖房はエアコン1台で足り、冷房も1台で足りる。設備が減ったぶん、初期費用も維持費も軽くなります。
そして余白の使い方も見事です。窓辺に作った3mのベンチ。これは部屋ではないので居室の坪数には効きませんが、日中いちばん光が入る場所に「居場所」を作っています。南向きの大開口を、眺めるためではなく座るために設計した。ここがこの家の主題だと思います。
編集部が注目した3つのポイント
1. 暖房エアコン1台で足りる、という事実が意味すること
北海道の住宅は、長らく灯油ボイラーやパネルヒーターによる全館暖房が標準でした。それが寒冷地向けエアコン1台で足りるということは、家から逃げていく熱の量がそれだけ少ないという意味です。
暖房機器の能力は、家の断熱性能(UA値)と気密性能(C値)で必要量が決まります。性能が上がれば必要な暖房能力は下がり、機器の台数も小さくできる。1台で賄えているという結果は、性能値そのものより雄弁な証明です。
この構成には、初期費用の面でも利点があります。全館暖房の設備一式に比べれば、エアコン1台のほうが機器費も設置費も安い。断熱に上乗せした費用の一部が、設備費の削減で戻ってくるという構造です。加えて、機器が少なければ将来の交換費用も抑えられます。
ただし前提があります。1台で家全体を賄うには、空気が家中を回る間取りが必要です。ドアで細かく仕切られた間取りでは、暖かい部屋と寒い部屋ができます。この家に吹き抜けと広いリビングがあるのは、デザインの話であると同時に、1台暖房を成立させるための条件でもあります。
2. 南向きの大開口は、寒冷地では「暖房装置」になる
窓は熱が逃げる場所ですが、同時に熱が入ってくる場所でもあります。冬の南面の日射取得は、断熱性能の高い家では無視できない熱源になります。日中に太陽で暖めた熱を、気密性の高い建物が逃がさずに保持する——これがパッシブな暖房です。
つまり、南向きの大開口は「性能が低いとリスク、性能が高いと資産」という、性能によって符号が反転する要素です。この家が南向きに大きな窓を取れているのは、その反転が起きているからだと読めます。
採用時に確認すべきは、窓の仕様です。同じ「大きな窓」でも、樹脂サッシ+トリプルガラスと、アルミ樹脂複合+ペアガラスでは性能が大きく違います。北海道であれば樹脂サッシが前提と考えてよいでしょう。
もう一点、夏の日射遮蔽を必ずセットで検討してください。冬に日射を取り込む窓は、夏には熱を入れます。軒の出、庇、外付けブラインド、あるいは落葉樹。この家が夏も冷房エアコン1台で足りているのは、遮蔽側の手当てもできている可能性が高い。「冬に入れて夏に遮る」は同じ窓で両立できますが、設計時に意図しないと片方だけになります。
3. 3mの窓辺ベンチという、部屋にならない「居場所」
この家でいちばん真似したいのが、窓辺に作られた3mのベンチです。「使い方色々」と本人が書いているとおり、用途が固定されていない場所です。座る、本を読む、洗濯物をたたむ、子どもが宿題をする、来客時の腰掛けになる。
面積効率で見ても優秀です。奥行き40〜45cm程度のベンチなら、幅3mでも約1.2㎡。0.4坪弱で「居場所」がひとつ増える計算になります。個室を1つ増やすのとは、コストの桁が違います。
造作するときのポイントは3つあります。奥行きは40〜45cm(座って足が床につき、物も置ける)、高さは40〜45cm(椅子と同じ)、そして下を収納にするかどうかを先に決めること。引き出しにするか、オープンにして箱を並べるか、あるいは何も入れずに脚元を抜くか。後から変えられない部分です。
窓辺という位置も重要です。日射のある場所に座る場所を作ると、冬はそこがいちばん快適な席になります。逆に、窓の性能が低いとコールドドラフト(窓際で冷えた空気が下りてくる現象)で、冬に誰も座らない場所になります。ベンチを作るなら、窓の仕様とセットで考えてください。
この家から学べる、性能で暮らしを軽くする3つの判断軸
判断軸1:性能を先に決める。間取りはそのあと
順番を逆にすると、性能は「予算が余ったら」の項目になり、最後に削られます。先にUA値・C値の目標を決めてしまえば、それが動かせない前提として残ります。
この順番には副次的な効果もあります。性能が高い前提でプランを描くと、設計者は大開口や吹き抜けを提案しやすくなる。性能は間取りの制約ではなく、間取りの自由度そのものです。打ち合わせの最初に「性能はここまで確保したい」と数字で伝えてください。
判断軸2:暖房費は「設備」ではなく「外皮」で下げる
光熱費を下げようとするとき、多くの人はまず高効率な設備を探します。しかし効くのは外皮(断熱・気密・窓)のほうです。設備は10〜15年で交換しますが、外皮は建てたときの性能が数十年続きます。
この家が太陽光+蓄電池を載せているのも順番として正しく、減らす(断熱)→作る(太陽光)→貯める(蓄電池)という順に効きます。断熱が甘い家に太陽光だけ載せても、作った電気を冷暖房が食い潰します。
判断軸3:坪数を増やす前に、「部屋にならない居場所」を探す
3mのベンチが示しているのはこの考え方です。個室を1つ増やせば数百万円、ベンチを作れば数万〜十数万円。得られる「居場所」の数は同じ1つです。
候補になるのは、窓辺のベンチ、階段の踊り場、カウンターの一角、土間、階段下。いずれも坪数をほとんど消費せずに滞在できる場所を作れます。延床を増やす検討に入る前に、こちらを一通り洗い出してみてください。
延床31.5坪・土地61坪という条件を読む
延床31.5坪の2階建てに、土地61坪。北海道の住宅地としては標準的な配分です。この規模で吹き抜けと大開口を成立させている点を見ていきます。
31.5坪で吹き抜けを採るなら、3LDKが現実的な上限
吹き抜けの面積だけ2階の床が減ります。4帖の吹き抜けなら、2階の居室が4帖ぶん取れません。31.5坪で吹き抜けを入れて4LDKを組むのは、かなり厳しくなります。
この家が3LDKなのは自然な帰結です。3人家族で子ども部屋1室という構成であれば、無理のない配分と言えます。将来2室に分ける可能性があるなら、広めの1室を間仕切り前提で用意しておくと両立できます。
土地61坪は、南面の空きを確保できる広さ
南向きの大開口を活かすには、南側に十分な空きが必要です。隣家が近いと日射が届かず、大きな窓が「大きな熱損失」になってしまいます。
建ぺい率60%の土地61坪なら建築面積は36坪まで。2階建てで延床31.5坪なら1階は16〜18坪前後なので、南面に相応の空きを取れる計算です。北海道で南面採光を活かすなら、土地選びの段階で「南側に何が建つか」を確認しておくことが、間取りより先に来る条件になります。
高性能住宅は坪単価が上がるが、月々で返ってくる
樹脂サッシ、厚い断熱、丁寧な気密施工。いずれも坪単価を押し上げます。ただし暖房設備が小さくて済むぶんの差額と、月々の光熱費の差を合わせて考える必要があります。
電気代が月1万円変わると、35年で420万円です。坪単価ではなく、建築費+35年分の光熱費で比較する。この計算をしたうえで性能を選んだのであれば、それは贅沢ではなく投資判断です。北海道のように暖房期間が長い地域ほど、差は大きく出ます。
3人家族が、この家の設計を再現するには
3人で31.5坪3LDK。居室に無理のない配分で、そのぶん性能と共用部に予算を寄せられる規模です。再現する際のポイントを挙げます。
窓辺のベンチは、家族の「第2の居場所」になる
3人家族の家では、リビングのソファがどうしても取り合いになります。ベンチがもう一席あると、同じ空間にいながら別々のことができる状態が作れます。
子どもが小さいうちは遊び場、大きくなれば宿題の席、大人にとっては本を読む場所。用途を決めないほうが長く使えます。コンセントを1〜2口、ベンチの近くに用意しておくと、後からデスク的にも使えるようになります。
収納は3種類に絞り、位置で効かせる
この家の収納はシューズクローク、ファミリークローゼット、階段下収納の3種類。数は多くありませんが、物が出てくる場所と使う場所の近くに置かれています。
とくにファミリークローゼットは、洗濯機と同じ階にあるかどうかで効果が変わります。3人家族なら3〜4帖が目安。収納は総量より配置という考え方は、31.5坪という規模ではとくに効きます。
エアコン1台運用は「間取りが仕切られていないこと」が条件
1台で家全体を賄うには、空気が回る必要があります。ドアで細かく仕切られた間取りだと、暖かい部屋と寒い部屋ができます。
この家の吹き抜けと広いリビングは、その通り道として機能しているはずです。再現するなら、階段をリビング内に置く(リビング階段)、廊下を減らす、個室のドアを開けたままでも成立する動線にする——このあたりを設計時に相談してください。性能だけ上げて間取りが仕切られていると、1台運用は成立しません。
岡本建設で建てるときに押さえたいこと
岡本建設は北海道を拠点とする住宅会社です。この家の構成は、寒冷地で高気密高断熱を前提に設計する会社の典型的な強みが出たものと言えます。確認したい点を挙げます。
UA値・C値の実測値を、棟ごとの数字で聞く
カタログ値ではなく実際に建てた家の実測値を聞いてください。とくにC値(気密)は施工品質で決まるため、現場ごとに測定しているかどうかが会社の姿勢を表します。「全棟気密測定をしていますか」という質問が、いちばん短く核心に届きます。
エアコン1台運用の実績と、その間取りの条件を確認する
「1台で足ります」と言えるかどうかではなく、1台運用した家が実際に何棟あるか、そのときの間取りの条件は何かを聞いてください。吹き抜けの有無、リビング階段か否か、個室のドアの扱い。条件が具体的に返ってくれば、実績があります。
窓の仕様と、夏の日射遮蔽の考え方を聞く
樹脂サッシかどうか、ガラスはトリプルかペアか、Low-Eの種類は何か。あわせて南面の大開口に対する夏の遮蔽をどう設計するかを確認してください。軒の出、庇、外付けブラインドのいずれを標準にしているか。冬の日射取得だけを語る会社より、夏の遮蔽まで説明できる会社のほうが信頼できます。
- 全棟気密測定の有無と、直近棟のC値の実測
- UA値の実測値と、断熱等級・ZEH基準に対する余裕
- エアコン1台運用の実績棟数と、成立させる間取りの条件
- 窓の仕様(樹脂サッシ/トリプル or ペア/Low-Eの種類)
- 南面大開口に対する夏の日射遮蔽の標準仕様
- 太陽光の想定発電量と、蓄電池の容量・停電時に使える回路
- 窓辺ベンチなど造作の対応範囲と費用
- 引き渡し後の光熱費の実績データを見せてもらえるか
寒冷地の会社は、性能について語る言葉を持っています。数字で答えられるか、実測か、そして夏の話までできるか。この3点で比較すると、会社ごとの差がはっきり出ます。
北海道で高性能住宅を検討する人へ|編集部メモ
北海道は暖房期間が長いぶん、断熱性能の差が光熱費に直結して現れる地域です。本州では「あったらいいね」で済む性能が、ここでは月々の支出として毎年返ってきます。逆に言えば、性能への投資がもっとも回収しやすい地域でもあります。この家が「電気代に怯えることがない」と書けているのは、その恩恵をきちんと受け取れているということです。
もう一点、北海道で見落とされがちなのが夏の暑さです。かつては冷房不要と言われた地域ですが、近年は真夏日が続くこともあり、冷房の想定は必須になっています。この家が夏も冷房エアコン1台で快適だというのは、断熱が冬だけでなく夏にも効いていることの証明です。断熱は「熱の出入りを減らす」性能なので、方向が逆になるだけで夏にも同じように効きます。会社を選ぶときは、冬の話だけでなく夏の話ができるかを見てください。加えて、南面の空きが確保できるかは土地選びの段階で決まります。間取りより先に、南側に何が建つかを確認しておくことをおすすめします。
よくある質問
Q. 北海道でエアコン1台の暖房は、本当に足りるのですか?
断熱・気密の性能と、空気が回る間取りの両方が揃えば足ります。逆にどちらか片方でも欠けると成立しません。性能が高くても、ドアで細かく仕切られた間取りでは寒い部屋ができます。検討する場合は、UA値・C値の実測値と、1台運用した実績のある間取り例をセットで見せてもらってください。なお寒冷地向けエアコンは低外気温でも能力が落ちにくい機種を選ぶ必要があります。
Q. 南向きの大きな窓は、冬に寒くありませんか?
窓の性能次第で答えが逆になります。性能の低い窓なら熱が逃げる場所ですが、樹脂サッシ+高性能ガラスであれば、冬の日射で得る熱のほうが上回ることがあります。北海道では樹脂サッシが前提と考えてよいでしょう。あわせて、窓際で冷えた空気が下りてくるコールドドラフトが起きないかも確認してください。窓辺にベンチを作るなら、なおさら重要な点です。
Q. 窓辺のベンチはどれくらいの寸法にすればいいですか?
目安は奥行き40〜45cm、高さ40〜45cm。椅子と同じ座面高にすると、日常的に座る場所になります。奥行きを深くしすぎると物置きになり、浅すぎると座れません。下部を収納にするかどうかは後から変えられないので、着工前に決めてください。引き出し/オープン棚/脚元を抜く、の3択です。
Q. 太陽光と蓄電池は、北海道でも元が取れますか?
日照時間は本州より短めですが、気温が低いぶんパネルの発電効率は高くなります。加えて、この家のように暖房を電気で賄う(オール電化)家では、自家消費の量が多くなるため恩恵を受けやすくなります。判断するときは、その敷地・屋根形状での想定発電量をkWhの数字で出してもらい、35年分で比較してください。積雪による発電量の低下と、雪下ろしの必要性も併せて確認しておくと安心です。
Q. 同じ岡本建設の事例をもっと見るには?
いえスタでは施工会社別に事例を絞り込めます。岡本建設の家アカ一覧から、間取り・坪数・テイスト別に比較できます。北海道の事例は寒冷地仕様の判断が参考になるので、複数見比べると性能まわりの優先順位が整理しやすくなります。
同じ条件の家アカをもっと見る
編集後記
@_3310_home_ さんのこだわり文で、いちばん印象に残るのは最後の一行です。「電気代に怯えることのないオール電化住宅です」。
「怯える」という言葉を使うということは、以前はそうだったということでもあります。冬の請求書を見るのが怖い、暖房をつけるのをためらう。北海道で暮らしていれば、多くの人が知っている感覚だと思います。
家の性能は、カタログの数字としてはとても地味です。UA値もC値も、写真に写りません。それでも、この一行が示しているのは、性能が変えるのは光熱費の金額ではなく、暮らしの気分のほうだということです。寒い日に暖房をためらわなくていい。それは月に数千円という話を超えています。
そして、その土台があったからこそ、南向きの大開口も、吹き抜けも、3mのベンチも作れた。性能は我慢するための項目ではなく、やりたいことを可能にするための項目——この家はそれを実物で証明しています。
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岡本建設
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- 3LDK
- 31.5坪
- 61坪
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- 北海道
- 岡本建設
- 3人家族
-
南向きにある大きな窓、開放的な吹き抜け、3mはある窓辺のベンチは使い方色々です。
寒暖差の激しい地域ですがズバ暖1台で真冬も暖かく夏も冷房エアコン1台でも快適です。太陽光発電+蓄電池、高気密高断熱のおかげで電気代に怯えることのないオール電化住宅です。


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