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「リビングが21畳などで広くてゆとりのあるお家です」@myhome6162 さんの家は、43坪4LDKに21畳のリビングと吹き抜け。そして土地は120坪。この組み合わせが北海道で成立しているということが、この家のいちばんの見どころです。
広いリビングに吹き抜け。憧れる人は多い一方で、必ず言われることがあります。「冬、寒くないですか」。暖かい空気は上に逃げるので、吹き抜けのある家は暖房が効きにくい——という話は、家づくりを始めるとほぼ確実に耳にします。
この家は北海道です。日本でいちばん寒さが厳しい地域で、21畳のリビングと吹き抜けを選んでいる。これは我慢して選んだのではなく、寒くならない前提があるから選べたと読むべきです。
そして外には120坪の土地。バーベキューもプールもできる庭と、ウッドデッキ。冬の性能と、夏の庭。北海道の家づくりは、この両方が揃ってはじめて成立します。
広さを取るために性能を犠牲にしていない家——いえスタ編集部はこの家をそう読みました。
施主のこだわりポイント
リビングが21畳などで広くてゆとりのあるお家です。
土地も120坪あるのでお庭でバーベキューやプールもできます。
— @myhome6162 さんの投稿より、編集部が引用
編集部メモ:この家を一言で言うと
一言でいえば、「性能が広さを許可している家」です。
吹き抜けも、21畳のリビングも、大きな窓も、それ自体は誰でも選べます。問題はそのあとで、断熱と暖房が追いつかなければ、広い部屋は寒い部屋になるだけです。北海道の住宅は、本州の標準よりはるかに高い断熱・気密水準が当たり前になっている地域です。この家の「ゆとり」は、その土台の上に載っています。
編集部が注目した3つのポイント
ポイント1:北海道で21畳のリビング+吹き抜けを選んでいるという意味
投稿で真っ先に挙げられているのが「リビングが21畳」という広さです。43坪の家で21畳をリビングに配るのは、かなり思い切った配分です。そこに吹き抜けが加わります。
本州の感覚だと、これは冬の暖房が心配になる組み合わせです。ただ北海道の住宅は事情が違います。厳しい断熱基準、厚い断熱材、トリプルガラスの窓、そして全館を暖める暖房設計——寒冷地では、これらが特別な仕様ではなく標準的な考え方として組み込まれています。
むしろ、家全体が均一に暖まる前提であれば吹き抜けは有利に働きます。1階と2階の空気がつながり、温度差が小さくなるからです。「吹き抜けは寒い」は、部屋ごとに暖房する家での話。家全体を暖める設計では、逆に効率が良くなることもあります。この家は、その考え方をそのまま形にした例だと読めます。
ポイント2:広いリビングを取りながら、キッチンは独立型を選んでいる
興味深いのが、キッチンの選択です。21畳のリビングという開放的な空間を持ちながら、キッチンはセパレートキッチン(独立型)。近年の主流である対面・アイランドとは逆の判断です。
これは「見せない」ことを選んだということです。独立型なら、調理中の匂い・音・洗い物がリビングから切り離せます。ビルトイン食洗機も入っているので、シンクまわりが片づかない時間帯もリビングの景色には影響しません。
広いリビングと吹き抜けは、視線が通る空間です。視線が通るからこそ、通したくないものを物理的に閉じる。開けた場所と閉じた場所をセットで設計している——この家の間取りは、そういう考え方で組まれています。ナチュラルモダン×モノトーンというテイストとも、方向性が一致しています。
ポイント3:120坪の庭を「眺める庭」ではなく「使う庭」にしている
投稿には「土地も120坪あるのでお庭でバーベキューやプールもできます」とあります。ここで重要なのは、庭の広さではなく用途がはっきり書かれていることです。
広い庭は、放っておくと「草を刈る場所」になります。使う理由がないと、維持だけが残る。この家は最初からバーベキューとプールという具体的な使い道を持っていて、さらにウッドデッキという室内と庭をつなぐ装置があります。
北海道は冬が長いぶん、夏の屋外時間の価値が非常に高い地域です。短い夏に庭でどう過ごすかが決まっている家と、そうでない家では、同じ120坪でも使われ方がまったく変わります。リビングから直接デッキに出られる構成は、その頻度を確実に押し上げます。
この家から読み取れる、寒冷地で広さを取るための考え方
広いリビングの快適さは、畳数ではなく「温度が均一か」で決まる
21畳のリビングが快適かどうかは、面積では決まりません。部屋の端と中央、床と天井付近で温度差がどれだけあるかで決まります。広い部屋ほど、この差は出やすくなります。
窓際が冷たい、足元だけ寒い、吹き抜けの上だけ暖かい——こうした状態になると、広いリビングでも実際に使うのは暖房の近くだけになり、面積が意味を失います。逆に温度が均一なら、21畳のどこにいても同じように過ごせる。広さに投資するなら、同じだけ性能にも投資しないと元が取れない。この家が北海道で成立している理由は、そこにあります。
本州でこの間取りを真似したい人は、間取りより先に断熱等級・UA値・窓の仕様を確認してください。同じ図面でも、性能が違えば別の家になります。
開ける場所と閉じる場所を、セットで決める
この家は、吹き抜け・広いリビング・ウッドデッキという「開く」要素と、独立キッチン・ファミリークローゼットという「閉じる」要素が、はっきり分かれています。
すべてを開放的にした家は、写真では美しく見えますが、生活のあらゆるものが視界に入り続けます。調理中の鍋、洗い物、洗濯物、子どものおもちゃ。開放感を保つには、実は相当な片づけの労力が要ります。
この家のように「見せる場所」と「隠す場所」を最初から分けておくと、片づけの負担が下がった状態で開放感が維持できます。間取りを考えるときは、開きたい場所を挙げると同時に、閉じたい場所も同じ数だけ挙げてみてください。
延床43坪・4LDKという広さの読み方
43坪で4LDK、そのうちリビングが21畳。この配分は、数字を並べてみるとかなり明確な意思が見えます。
21畳という数字が、43坪の中で占める割合
21畳はおよそ10.5坪。延床43坪の家で、リビング(LDK)だけで全体の約4分の1を使っている計算になります。ここに玄関・水まわり・階段・廊下が加わり、残りを4つの部屋で分けることになります。
つまりこの家は、個室を大きくするより、みんなが集まる場所を大きくするほうに配分した家です。4LDKという部屋数を確保しながらこの配分ができているのは、43坪という延床に余裕があるからです。
吹き抜けは、床面積には入らないが体積を増やす
吹き抜け部分は、2階の床がないので延床面積には計上されません。それでも空間としての体積は確実に増えています。43坪という数字が示すより、この家の体感はさらに大きいはずです。
ただしこれは暖房する体積も増えるということでもあります。吹き抜けを検討するときは、面積ではなく体積で考える——冷暖房計画を担当者と詰めるときは、この視点で話すと具体的な提案が出てきやすくなります。
土地120坪に対して、建物と庭のバランス
土地120坪に建築面積はおそらく20坪台。敷地の8割前後が外部空間という計算になります。この余白があるから、バーベキューもプールも成立します。
寒冷地では、この外部空間の使い方に冬の事情も加わります。雪をどこに寄せるか、除雪した雪の置き場、駐車場から玄関までの動線。庭の計画は夏の使い方だけでなく、冬の雪の行き先まで含めて考える必要があります。土地が広いことは、この点でも有利に働きます。
3人家族で4LDK。部屋数の余裕をどう使うか
3人家族に4LDK。子ども部屋が確保されたうえで、まだ余白があります。
子ども部屋があること、そして残りの一室
申告に子ども部屋がある家が入っています。3人家族で4LDKということは、寝室・子ども部屋に加えて、まだ部屋の余裕があるということです。
この余白は、時間とともに役割を変えます。今は客間や納戸でも、数年後には勉強部屋になり、さらに先には夫婦それぞれの部屋になるかもしれない。用途を決めきらない部屋は、家の寿命を伸ばします。とくに雪国では、冬に家の中で過ごす時間が長くなるので、逃げ場になる部屋の価値は高くなります。
家事ラク動線とファミリークローゼットで、2階建ての弱点を補う
2階建ての家事でいちばん負担が大きいのは、洗濯物の上下移動です。1階で洗って、2階に干して、各部屋にしまう——これを毎日繰り返すと、階段の往復が相当な回数になります。
この家はファミリークローゼットと家事ラク動線の両方を申告しています。家族の服を1か所に集めれば、しまう作業は一度で終わる。洗う・干す・しまうが同じ階で完結するかは、2階建てを検討するときに必ず確認したいポイントです。図面の上で、洗濯機からクローゼットまでを指でなぞってみてください。
豊栄建設という選択
この家の建築会社は豊栄建設です。北海道・札幌を拠点とする住宅会社で、寒冷地の住宅を数多く手がけています。
寒冷地の会社に建ててもらうという意味
北海道の住宅は、本州とは前提が違います。断熱材の厚み、窓の仕様、暖房の考え方、雪への対応——どれも本州の標準的な仕様の延長ではなく、別の設計思想の上に成り立っています。
21畳のリビングと吹き抜けという、本州では「寒くないですか」と言われがちな構成が北海道で選ばれているのは、その地域では当たり前に解ける問題だからです。地域の会社は、その土地の気候に対する蓄積を持っています。寒冷地で家を建てるなら、その蓄積があるかどうかは会社選びの重要な判断材料になります。
性能を数字で確認しておく
「うちは暖かいです」という説明は、どの会社もします。比較のためには数字に落とす必要があります。UA値(外皮平均熱貫流率)、C値(気密性能)、断熱等級、窓のガラス構成とサッシの種類。この4つを各社に同じ形で聞くと、違いがはっきり出ます。
あわせて、暖房の方式と光熱費の目安も確認しておきたいところです。この家は太陽光発電も搭載しているので、発電と消費の両面で年間の収支を試算してもらうと、判断材料が揃います。寒冷地は暖房費の比重が大きいぶん、性能の差が家計に直結します。
- UA値・C値・断熱等級と、窓のガラス構成/サッシの種類
- 暖房の方式(全館暖房か個別か)と、吹き抜けを含めた冷暖房計画
- 年間の光熱費の目安と、太陽光発電の発電シミュレーション
- リビングを広く取った場合の温度分布(床・窓際・吹き抜け上部)
- 屋根形状と雪処理の方法(落雪式・無落雪式)、雪の置き場
- 駐車場から玄関までの動線と、冬季の除雪範囲
- ファミリークローゼットの位置と、洗濯機・干し場からの距離
- 外構工事の範囲と概算(土地が広いほど金額は大きくなります)
広さと性能はトレードオフではありません。性能が先にあって、その上で広さを選べるようになるという順番です。上のチェックリストは、その順番で会社と話すための材料として使ってみてください。
北海道で家を建てるということ
北海道の家づくりは、本州とは優先順位が違います。まず冬をどう越すかが決まり、そのあとに間取りやデザインの話になる。断熱・気密・暖房は選択肢ではなく前提条件で、そこが揃っているからこそ、吹き抜けや大きなリビングといった「本州では慎重に検討される要素」を素直に選べます。
もうひとつ、北海道ならではなのが夏の庭の価値です。冬が長いぶん、外で過ごせる季節は限られます。だからこそ、その短い期間に庭を使い切れるかどうかが暮らしの満足度を左右します。この家の「バーベキューやプールもできます」という一文は、その季節を明確に意識した言葉です。
ウッドデッキがあることで、リビングから庭までが地続きになります。靴を履き替えて庭に降りる家と、そのまま出られる家では、使う回数が桁違いに変わります。北海道で庭を持つなら、デッキやテラスをセットで考える価値は十分にあります。
よくある質問
吹き抜けのある家は寒くなりませんか?
部屋ごとに暖房する家では、暖気が上に逃げて寒く感じやすくなります。一方、断熱・気密が高く家全体を暖める設計であれば、吹き抜けは1階と2階の温度差を小さくする方向に働きます。この家が北海道で吹き抜けを採用できているのは、その前提があるからです。吹き抜けを検討するときは、意匠より先に断熱性能と暖房方式を確認してください。
リビング21畳は広すぎませんか?
広さそのものより、部屋の温度が均一かどうかと家具の配置が決まっているかどうかで体感は変わります。温度差があると、実際に使うのは暖房の近くだけになります。また、広いリビングは家具が少ないと落ち着かないため、ソファ・ダイニング・収納の配置を設計段階で決めておくと失敗しにくくなります。
独立キッチンは今どき使いにくくないですか?
対面・アイランドが主流ですが、独立型には匂いや音、洗い物がリビングから見えないという明確な利点があります。広いリビングや吹き抜けのように視線が通る空間ほど、この効果は大きくなります。料理中に家族の様子を見たいかどうか、来客時にキッチンを見せたいかどうかで判断が分かれるところです。
広い土地を持つと、維持が大変ではありませんか?
草刈り・除雪・外構の維持といった手間は確実に増えます。だからこそ使い道を決めておくことが重要です。この家はバーベキューやプールという具体的な用途があり、ウッドデッキで室内とつながっています。使う理由がある庭は維持され、ない庭は放置されがちです。
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編集後記
「リビングが21畳などで広くてゆとりのあるお家です」。
この投稿がいいのは、広さを自慢するのではなく「ゆとり」という言葉で語っているところだと思います。21畳という数字は結果であって、目的ではない。目的は、家の中に余裕があること。庭でバーベキューができること。プールを出せること。
そしてそのゆとりは、北海道という条件の上に成り立っています。冬にきちんと暖かいから、広い部屋が広いままで使える。夏が短いから、庭で過ごす一日の価値が高い。土地に余裕があるから、その庭が作れる。全部がつながっています。
間取りや設備は真似できても、この「つながり方」は土地と地域ごとに違います。だからこの家から持ち帰るべきなのは21畳という数字ではなく、広さを取る前に、それを支える条件を先に揃えたという順番のほうだと思います。
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