「うちは何坪あれば足りるんだろう」——家づくりの序盤で、ほぼ全員がここでつまずきます。ネットを見れば「4人家族は35坪が標準」と書いてある。けれど実際に建てた人に聞くと、35坪で満足している人もいれば、35坪で「狭い」と言う人も、「広すぎた」と言う人もいます。
いえスタが家アカ(実際に注文住宅を建てた施主のInstagramアカウント)100軒に取材して分かったのは、広さの後悔は「坪数を間違えた」から起きているのではなく、「面積の配り方を間違えた」から起きているということでした。この記事では、100軒の坪数分布と満足度、狭くて後悔した場所・広くして後悔した理由、そして自分に必要な坪数を決める手順までをまとめます。
結論:後悔しているのは「坪数」ではなく「配分」だった
100軒のうち、家の広さについて何らかの後悔を語った人は48軒。ほぼ半数です。ただし内訳を見ると景色が変わります。
- 「家全体が狭かった」…9軒
- 「家全体が広すぎた」…7軒
- 「総面積は妥当だが、特定の場所の広さを間違えた」…32軒
つまり後悔の3分の2は、家そのもののサイズではなく部屋ごとの割り振りの話でした。「もう1坪あれば」ではなく「あの1畳をこっちに回せばよかった」というのが、住んでからの本音なんです。
だから坪数は、平均値を見て決めるものではありません。「何をどこに置いて、どう動くか」を先に決めてから、その合計として出てくる数字です。順番が逆になっている人ほど後悔していました。

家アカ100軒の坪数分布|いちばん多いのは32〜36坪
まず前提として、100軒の延床面積の分布はこうでした。
| 延床面積 | 軒数 | 広さに満足と答えた割合 |
|---|---|---|
| 〜28坪 | 11軒 | 55% |
| 29〜31坪 | 18軒 | 61% |
| 32〜36坪 | 37軒 | 78% |
| 37〜40坪 | 23軒 | 74% |
| 41坪〜 | 11軒 | 64% |
ボリュームゾーンは32〜36坪で、100軒中37軒がここに入りました。住宅金融支援機構の「フラット35利用者調査」でも注文住宅の全国平均は約119.5㎡=約36坪とされており、家アカの分布もおおむねこれと重なります。世の中の標準から大きく外れてはいない、ということです。
興味深いのは満足度で、いちばん高いのは32〜36坪ゾーン(78%)。41坪以上になると満足度がむしろ下がります。広ければ広いほど幸せ、という単純な話ではありませんでした。

「狭くて後悔」した4か所|LDKより先に削られる場所
狭さの後悔は、意外にもリビングではありませんでした。予算調整のとき、LDKと個室は最後まで守られる一方で、「面積を削っても図面上は困らなさそうな場所」から先に痩せていく。そこが住み始めてから効いてきます。
1位:玄関・シューズクローク(17軒)
最多はここ。「土間収納を1畳にしたけど、ベビーカーと自転車と子どもの外遊びグッズで一瞬で埋まった」「宅配を受け取るとき玄関に人が2人立てない」。玄関まわりは図面で見るとスカスカに見えるので削られやすいのですが、実際はモノと人が同時に動く場所です。1畳と2畳では使い勝手がまるで違う、という声が繰り返し出てきました。
2位:洗面脱衣室(14軒)
「2畳にしたら、洗濯機の前でしゃがむと後ろを通れない」「脱衣と洗面を分けたかったのに面積が足りず断念」。朝の身支度と入浴が重なる時間帯に渋滞が起きるため、家族人数が多いほど後悔の声が強く出ます。3畳確保した家庭の満足度は明確に高めでした。
3位:パントリー・食品庫(11軒)
「棚を付けたけど奥行きが浅くて、まとめ買いのケースが入らない」。パントリーは面積というより奥行きと通路幅の後悔が中心。0.5坪しかないと結局“物置”になります。収納全体の考え方は後悔しない収納計画|パントリー・WIC・シューズクロークの広さと配置で詳しくまとめています。
4位:2階ホール・階段まわり(9軒)
「廊下を最小限にしたら、家具の搬入で階段が曲がりきらなかった」「2階に洗濯物を干すスペースが結局なかった」。動線に必要な“余白”を全部削ってしまったパターンです。
「広くしすぎて後悔」した人の本音|効いてくるのは住んでから
逆に41坪以上で満足度が落ちる理由も、はっきりしていました。
- 光熱費:「暖房が効くまで時間がかかる。冬の電気代が想定の1.4倍だった」(42坪)
- 掃除:「ルンバを2台買った。それでも週末が掃除で潰れる」(45坪)
- 使わない部屋:「和室と書斎、どちらも年に数回。実質10畳分の物置」(43坪)
- 予算の圧迫:「面積を優先した結果、断熱等級とキッチンのグレードを落とした。今は逆にすればよかったと思う」(40坪)
最後の1件が、いちばん多く聞いた後悔の型です。面積は「増やした瞬間」ではなく「維持し続ける間」ずっとコストを生む。同じ200万円を、2坪の増床ではなく断熱・気密や設備に回した家庭のほうが、住んでからの満足度は高い傾向がありました。実際、家アカ100軒の後悔TOP10/やってよかったTOP10でも、上位に来るのは面積ではなく性能と動線です。

同じ35坪でも満足度が割れる|削っていい場所・ダメな場所
100軒を見比べて浮かび上がったのが、この線引きでした。
削っても後悔が出にくかった場所
- 主寝室:8畳→6畳にしても不満はほぼゼロ。「寝るだけの部屋だった」
- 子ども部屋:4.5畳で足りたという声が多数。将来仕切る前提なら広さより窓と扉の位置
- 和室・客間:使用頻度が最も低い。リビング隣接の3〜4.5畳の小上がりで十分という意見が優勢
- 2階トイレ:0.4坪でも不満は出にくい
削ると高確率で後悔した場所
- 玄関・土間収納:最低2畳。ベビーカー・アウトドア用品がある家庭は3畳
- 洗面脱衣:3畳。ここを守った家庭の朝は明らかにラク
- キッチン背面の通路:90cm以下にすると2人で立てない
- ファミリークローゼット:2〜3畳。作った家庭の満足度が非常に高い(人気の間取りランキングでも上位常連)
寝室を2畳削って、その2畳を玄関と洗面に1畳ずつ回す。総面積は1ミリも変わらないのに、住んでからの体感はまるで違う——これが「同じ35坪でも満足度が割れる」正体でした。
LDKの適正な広さについてはリビングの間取り|広さ・形・配置で失敗しないコツで、家具の実寸から逆算する方法をまとめています。

自分に必要な坪数を決める3ステップ
STEP1:平均坪数はいったん忘れて、部屋を書き出す
必要な部屋と希望の広さを紙に全部書き出し、畳数を足します。4人家族の一例:LDK16畳+主寝室6畳+子ども室4.5畳×2+WIC3畳+洗面脱衣3畳+玄関土間2畳+水回り・階段・廊下で合計およそ33〜36坪。先に足し算をすると、平均値ではなく自分の数字が出ます。
STEP2:予算の上限から逆に坪数を割り出す
STEP1の数字と、予算から出る坪数はたいてい一致しません。ここで「面積を削るか、性能・設備を削るか」の判断が発生します。100軒の声を踏まえるなら、迷ったときは面積を削って性能を残すほうが後悔が少ない。ここは家づくりの分岐点なので、数字を出す前に夫婦で優先順位を決めておくと揉めません。
STEP3:削る場所を「上の線引き」で決める
削るのは寝室・子ども部屋・和室から。玄関・洗面・キッチン通路には手を付けない。この順番を守るだけで、同じ坪数でも住み心地は変わります。平屋を検討している場合は、廊下率が上がるぶん同じ生活には2〜3坪多く必要になる点も頭に入れておいてください(平屋と2階建てどっちが満足?)。
ここまで整理できたら、あとは「その坪数で、その予算で建てられる会社はどこか」を知る段階です。同じ34坪でも、会社によって標準仕様も価格も驚くほど違います。気になる会社の資料を2〜3社取り寄せて、坪単価と標準仕様を並べて見比べてみてください(無料・しつこい営業はありません)。
坪数を決める前のチェックリスト
- 今の住まいで「狭い」と感じる場所を3つ挙げられるか
- 玄関に置きたいもの(ベビーカー・自転車・ゴルフバッグ等)を書き出したか
- 洗面脱衣を朝に何人が同時に使うか数えたか
- 10年後の子ども部屋の使われ方を想像したか
- 面積と住宅性能、どちらを優先するか夫婦で合意したか
- 建てたあとの光熱費・固定資産税・掃除の手間まで見込んだか
広さの後悔は、住み始めてからでは直せません。逆に言えば、図面の段階で1畳を動かすだけで防げるものがほとんどです。間取りタイプ別の実例を眺めながら、自分の家族に必要な畳数を先に書き出してみてください。
そのうえで具体的な数字と向き合う段階になったら、資料請求で複数社のプラン例と価格を手元に集めるのがいちばん早い方法です。


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