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@__y___ie さんが挙げたこだわりは2行です。「シンプル和モダンなお家」「何年後も飽きないようなデザイン」。デザインの話をしているようで、実はこれは判断基準の話です。飽きるかどうかを軸にすると、選ぶものが変わります。
家づくりの打ち合わせで見るカタログや施工事例は、どれも「今」いちばん見栄えのするものです。SNSで人気のテイスト、話題の建材、流行の色。そのとき魅力的に見えるものほど、時間の経過に弱いという性質があります。
「何年後も飽きないようなデザイン」を基準にすると、選択肢の見え方が変わります。流行のピークにあるものは避け、10年前も10年後も成立していそうなものを選ぶ。結果として残るのは、素材そのものの質感と、抑えた色数と、シンプルな線です。
この家がシンプル/ミニマルと和モダンの組み合わせに落ち着いているのは、その帰結だと思います。和モダンは日本の住宅において最も寿命の長いテイストのひとつです。いえスタ編集部はこの家を「時間を基準に選んだ家」と読みました。
施主のこだわりポイント
シンプル和モダンなお家
何年後も飽きないようなデザイン
— @__y___ie さんの投稿より、編集部が引用
編集部メモ:この家を一言で言うと
「10年後の目で選んだ家」。
家の見た目は、住み始めた瞬間から古くなっていきます。ただし古くなり方には2種類あって、「流行遅れになる」ものと「経年する」ものがあります。前者は時間とともに価値が下がり、後者は味になります。
飽きないデザインとは、後者を選ぶということです。木、塗り壁、シンプルな線、抑えた色数。これらは10年経っても「古い」ではなく「馴染んだ」と表現される種類のものです。逆に、その時期に流行った特徴的な形や色は、数年で時代が特定できるようになります。
この家が持っているのは、アイランドキッチン、造作洗面台、吹き抜け、回遊動線。どれも形の流行ではなく、暮らし方の型です。形は飽きますが、動線は飽きません。そして土地98坪という余裕を、部屋数ではなくウッドデッキや吹き抜けといった「空間の質」に配分している点も一貫しています。
編集部が注目した3つのポイント
1. 「飽きない」は感覚ではなく、選び方のルールにできる
飽きにくいものには共通点があります。①色数が少ない ②素材が本物である ③形が特徴的すぎない。この3つを満たすものは、時間が経っても違和感が出にくい。
逆に飽きやすいのは、その時期に流行した特徴的な形、強いアクセントカラー、プリントで再現された素材感です。プリント素材は経年で「劣化」しますが、本物の素材は「変化」します。この差が、10年後の印象を分けます。
実務的な使い方としては、迷ったときに「これは10年前にもあったか?」と自問するのが有効です。10年前にもあり、今もある。それは流行ではなく定番です。逆に、ここ2〜3年で急に見かけるようになったものは、同じ速さで見かけなくなる可能性があります。
ただし、全部を定番で固めると個性がなくなります。「飽きない土台+1〜2か所だけ好きなもの」という配分にすれば、飽きたときに小さく変えられます。この家が和モダンという寿命の長いテイストを土台にしているのは、その構造として正解です。
2. 和モダンは、日本の住宅で最も寿命の長いテイスト
和モダンが飽きにくいのは、日本の気候風土と生活習慣に根ざしているからです。深い軒、木の質感、直線的な構成、抑えた色。いずれも見た目のために選ばれた要素ではなく、湿度と日射に対する合理的な答えとして残ってきたものです。
加えて、和モダンは家具や小物を選ばないという利点があります。北欧家具も、モダンな照明も、古道具も置ける。テイストの主張が強くないぶん、置くものの自由度が高い。10年後に家具を買い替えても、空間が破綻しません。
再現するときのポイントは、「和風」ではなく「和モダン」に留めることです。真壁、欄間、床の間といった要素を入れると和風住宅に寄り、モダンな家具が合わなくなります。
和モダンの構成要素は意外にシンプルで、木の質感、直線、抑えた色、そして陰影。この家がシンプル/ミニマルとの組み合わせを選んでいるのは、装飾を足さずに和の要素だけを抽出する方向です。足す和ではなく、引いた和。これが飽きにくさにつながります。
3. 土地98坪の余白を、部屋数ではなく空間の質に配分している
土地98坪あれば、40坪台の家も建てられます。それでも延床38坪に抑え、4LDKに留めている。浮いた面積と予算を、吹き抜け・回遊動線・ウッドデッキという「広さではないもの」に回している構成です。
これは飽きないデザインという基準と一貫しています。部屋数を増やしても暮らしの質は上がりませんが、光と抜けと外部空間は毎日効きます。4人家族で4LDKなら部屋数は足りている。そこから先は、広さの追加ではなく質の追加という判断です。
ウッドデッキの価値は、土地に余裕がある地域でこそ出ます。屋外に人目を気にせず出られる場所があると、リビングの体感面積が大きく広がります。掃き出し窓から段差なくつながる形にすれば、視覚的にも室内が延長されて見えます。
維持の面も書いておきます。天然木のデッキは数年ごとの塗装が必要で、樹脂系は初期費用が高いかわりに手間がほぼありません。「飽きない」を基準にするなら、10年後も手をかけ続けられるかで選ぶのが筋の通った判断です。手入れが負担になった時点で、その場所は使われなくなります。
この家から学べる、10年後に後悔しない3つの判断軸
判断軸1:「10年前にもあったか」で選ぶ
迷ったときの判断基準として、これほど使えるものはありません。10年前にもあり、今もある——それは流行ではなく定番です。逆に、ここ2〜3年で急に見かけるようになったものは、同じ速さで消えます。
木、塗り壁、タイル、シンプルな白。これらは何十年も使われ続けています。判断に迷う場面は打ち合わせで何十回も来るので、その都度この一問に置き換えると、決断が速くなります。
判断軸2:飽きたときに「小さく変えられる」構造にしておく
どれだけ慎重に選んでも、10年後の自分の好みは分かりません。だから重要なのは、飽きたときに何を変えられるかです。
家具・照明・カーテン・小物は簡単に変えられます。壁紙も比較的容易。逆に、造作家具、タイルの壁、床材、建具は変えられません。変えられないものほど定番で、変えられるものほど好きなもので。この配分にしておけば、飽きても数万円で更新できます。
判断軸3:広さより「光・抜け・外」に配分する
土地に余裕があると、つい部屋数と広さを増やしたくなります。しかし住み始めてから毎日効いてくるのは、部屋の数ではなく光の入り方、視線の抜け、外に出られるかどうかです。
この家が98坪の土地に38坪で建て、吹き抜けとウッドデッキを持っているのはその判断です。使わない部屋は掃除の対象にしかなりませんが、光と抜けは毎日体感します。予算配分に迷ったら、こちらを優先してください。
延床38坪・土地98坪という条件を読む
土地98坪に、延床38坪。建ぺい率にも容積率にもかなり余裕のある配分です。この余白の使い方を整理します。
38坪4LDKは、収納と機能に4〜6坪回せる
4LDKの標準構成に必要なのは28〜32坪。38坪なら6坪前後の余裕があります。この家はそこを吹き抜け、回遊動線、ワークスペース、収納3種類に配分しています。
4人家族で4LDKなら部屋数は十分。それ以上増やすより、共用部の質に回すほうが日常の満足度は上がります。この配分は、多くの4人家族にとって参考になるはずです。
土地98坪なら、駐車・庭・デッキが全部成立する
建ぺい率60%なら建築面積は58坪まで建てられます。2階建てで延床38坪なら1階は20坪前後なので、78坪ぶんが屋外として残る計算です。駐車2〜3台、ウッドデッキ、庭、物置。すべて無理なく入ります。
ただし、外構は面積に比例して費用が増えます。広い土地ほど「とりあえず砂利敷き」で終わりがちで、それが数年後の草取りの負担になります。土地に余裕がある場合こそ、外構の計画と予算を建物と同時に立ててください。
吹き抜けを採るなら、4LDKが実質的な上限
吹き抜けの面積だけ2階の床が減ります。38坪で吹き抜けを入れて5LDKを組むと、各部屋がかなり小さくなります。
この家が4LDKに留めているのは、その計算をしたうえでの判断でしょう。吹き抜けの有無は、部屋数を確定させてから決める。順番を逆にすると、あとで削るものがなくなります。
4人家族が、この家の設計を再現するには
4人で38坪4LDK。部屋数と広さのバランスが取れた構成です。長く住むことを前提にした注意点を挙げます。
子ども部屋は「10年しか使わない」前提で考える
子ども部屋が本当に必要なのは、中学生から独立までのおおよそ10年間です。その10年のために家全体の配分を歪めるのは、長い目で見て効率的ではありません。
広めの1室を間仕切りできるようにしておく、あるいは最初から4.5帖程度に抑えて共用部を広く取る。この家が吹き抜けと広いリビングを持っているのは、家族が一緒に過ごす時間のほうに配分したということでしょう。
ファミリークローゼットは、子どもが小さいうちが最盛期
家族全員の衣類を1か所にまとめる方式は、親が全員分をしまう時期に最も効きます。子どもが大きくなると自室に置きたがるようになります。
可動棚とハンガーパイプで構成しておけば、書斎やストックルームに転用できます。10年後の使い道まで考えて作ると、無駄になりません。
アイランドキッチンは、片付けの前提とセットで
アイランドキッチンは開放的で見た目も良い一方、四方から見えるため常に片付いている必要があります。4人家族の日常では、これがなかなか難しい。
この家がパントリーとリビング収納を持っているのは、その受け皿でしょう。アイランドを選ぶなら、隠す場所を必ず別に用意する。背面を全面収納にする、パントリーを近くに置く、といった対策をセットで検討してください。
ディテールホームで建てるときに押さえたいこと
ディテールホームは新潟を拠点とする住宅会社です。「飽きないデザイン」という基準で選ぶ場合、提案の引き出しと素材の扱いが判断材料になります。確認したい点を挙げます。
5年以上前に建てた家の写真を見せてもらう
完成直後の写真はどの会社も綺麗です。見るべきは数年経った家がどう見えるか。「飽きないデザイン」を求めるなら、これ以上に確かな判断材料はありません。
OB訪問ができるなら、なお良いでしょう。住んでいる方に「今も気に入っているか」「変えたい場所はあるか」を直接聞けます。この依頼に前向きな会社は、長く見られても大丈夫という自信があるということです。
素材が「本物か、プリントか」を1つずつ確認する
飽きにくさは素材で決まります。無垢材か突板か化粧シートか、塗り壁かクロスか、タイルかタイル調か。見積書の項目名だけでは分からないことが多いので、サンプルを触って確認してください。
全部を本物にする必要はありません。視界に入る時間が長い場所(LDKの床と壁、玄関)から優先すれば、予算を抑えつつ効果が出ます。
ZEH性能と吹き抜けの整合を数字で確認する
ZEH対応と記載がありますが、UA値・C値の実測値まで確認しておくと安心です。とくに吹き抜けのある家では、性能が伴わないと冬の足元の冷えとして現れます。
あわせて、吹き抜けを含めた冷暖房計画を図面で出してもらってください。「どの機器で、どの範囲を、どう賄うか」が具体的に説明できる会社なら安心です。
- 5年以上前に建てた家の写真、可能ならOB訪問
- 素材が本物かプリントか(床・壁・建具・タイル)
- UA値・C値の実測値とZEH基準に対する余裕
- 吹き抜けを含む冷暖房計画の図面化
- 38坪で吹き抜け+回遊動線+4LDKを成立させたプラン例
- アイランドキッチンの背面収納・パントリーの容量
- ウッドデッキの樹種とメンテナンス周期・費用
- 外構(駐車・庭・デッキ)の見積もりを建物と同時に
「飽きないデザイン」という要望に対して、具体的な素材と実例で答えられるかが会社の力量です。抽象的な言葉で返ってくる場合は、他社とも比較してみてください。
中部エリアで長く住む家を検討する人へ|編集部メモ
中部エリアは土地に比較的余裕があり、98坪といった敷地が現実的に手に入る地域です。この条件では、建物を大きくするより外部空間に配分するほうが暮らしの質が上がります。ウッドデッキ、庭、駐車。どれも都市部では諦めることの多い要素です。
気候面では、夏の暑さと冬の底冷えの両方に備える必要があります。和モダンの深い軒は、夏の日射を遮りつつ冬の低い日射を取り込むという点で、実は非常に合理的な形です。デザインとして選んだ軒が、そのまま性能として効きます。加えて、雪の多い地域であれば屋根形状と落雪の処理、ウッドデッキの耐雪も確認してください。「飽きない」を基準にするなら、10年後も手入れが続けられる仕様かどうかが最終的な判断軸になります。
よくある質問
Q. 飽きないデザインの具体的な条件は何ですか?
大きく3つです。①色数が少ない ②素材が本物である ③形が特徴的すぎない。迷ったときは「これは10年前にもあったか」と自問してください。10年前にもあり今もあるものは、流行ではなく定番です。全部を定番で固めると個性がなくなるので、「飽きない土台+1〜2か所だけ好きなもの」という配分がおすすめです。
Q. 和モダンと和風の違いは何ですか?
和風は真壁、欄間、床の間といった伝統的な要素を持つ様式です。和モダンはそこから木の質感・直線・抑えた色・陰影だけを抽出したもので、現代的な家具や照明と両立します。「足す和」ではなく「引いた和」。この違いが、飽きにくさと家具の自由度につながります。
Q. アイランドキッチンは片付けが大変ではないですか?
四方から見えるため、常に片付いている必要があります。採用するなら「隠す場所」を必ず別に用意してください。背面を全面収納にする、パントリーを近くに配置する、といった対策が有効です。この家がパントリーとリビング収納を持っているのは、その受け皿と考えられます。
Q. ウッドデッキは天然木と樹脂どちらがいいですか?
手をかけたいかどうかで決めてください。天然木は質感に優れる一方、数年ごとの塗装が必要。樹脂系は初期費用が高いかわりにメンテナンスがほぼ不要です。長く使うことを前提にするなら、10年後も手入れを続けられるかで選ぶのが現実的です。手入れが負担になった時点で、その場所は使われなくなります。
Q. 同じディテールホームの事例をもっと見るには?
いえスタでは施工会社別に事例を絞り込めます。ディテールホームの家アカ一覧から、間取り・坪数・テイスト別に比較できます。同じ会社の複数事例を見ると、その会社が得意とする設計の傾向がつかめます。
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編集後記
@__y___ie さんのこだわりは、「シンプル和モダンなお家」「何年後も飽きないようなデザイン」の2行です。
2行目が効いています。これは「どんな家にしたいか」ではなく、「どうやって決めるか」を書いた文だからです。好みを述べるのではなく、判断基準を宣言している。
家づくりでは何百回も選択が発生します。壁紙、建具、水栓、照明、床、外壁。そのたびに好みで選んでいると、全体としてまとまりません。「飽きないか」という一本の物差しがあれば、選択のたびにそれを当てるだけで済みます。
そして、この基準は10年後の自分に対しても誠実です。今いちばん好きなものではなく、10年後の自分が嫌いにならないものを選ぶ。家は今の自分のためだけに建てるものではない——この2行は、そう言っているように読めます。
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