中庭のある家は後悔する?家アカ100軒データが示す「中庭を選んだ家の土地は6坪狭い」現実と、デッキが使われなくなる分かれ目【2026年版】

中庭のある家の後悔を検証|大きな窓から庭が見える明るいリビング

中庭のある家は後悔する、とよく言われます。費用が上がる、床面積が減る、掃除が大変、虫が来る——検索して出てくる注意点はどれも似ています。ただ、実際に中庭を作った人が同じことを言っているかは別の話です。

いえスタでは「家アカ」として実際に家を建てた施主の投稿を集めています。今回はその192本を1本ずつ実測集計し、中庭とウッドデッキが「結局どれだけ作られ、住んでから語られているのか」を数字で出しました。結果、よく言われる話と逆のことが3つ出てきました。

  • 中庭を作った家の土地は、むしろ狭い(中庭あり61.8坪/デッキのみ78坪)
  • ウッドデッキは、作った家の13%しか自分から語らない(中庭は38%)
  • 施主の声181件のうち「虫」は0件。競合記事が必ず立てる章が、当事者の語りに存在しない

この記事では、中庭とウッドデッキのどちらを選ぶかを「土地の倍率」と「奥行きのcm」で決める方法までまとめます。数字はすべて家アカの実測で、推計や引用ではありません。

目次

結論:中庭は100軒中17軒、ウッドデッキ・テラスは32軒

まず作られている量から。家アカ192本を100軒に換算するとこうなります。

外とつながる空間実数(192本中)100軒換算
ウッドデッキ・テラス62本32軒
中庭のある家32本17軒
タイルデッキ9本5軒
中庭とデッキの両方13本7軒
どれも作らなかった105本55軒

デッキ系は3軒に1軒、中庭は6軒に1軒。そして半分以上の家は、外とつながる専用の空間を作っていません。ここまでは想像どおりだと思います。問題はこの先です。

逆張り①:中庭を作った家の土地は、むしろ6坪狭い

「中庭は床面積が減るから、土地に余裕がないと難しい」——これはほぼ全ての解説記事に書かれています。ところが土地面積が判明した家で中央値を取ると、順番が逆になりました。

土地の中央値延床の中央値土地÷延床
中庭あり(32本)61.8坪35坪1.90倍
デッキのみ(55本)78坪34坪2.29倍
どちらもなし(105本)67坪32坪2.00倍
全体(192本)68坪33坪2.00倍

中庭のある家の土地は全体より約6坪狭く、デッキだけの家より16坪も狭い。しかも延床は35坪と、3グループで一番大きい。土地に対する建物の比率でいえば、中庭のある家がいちばん詰め込んでいます。

実例を並べると、この傾向はもっとはっきりします。中庭を作った家の土地は42坪、50坪、56.5坪、59坪、61坪。北道路の旗竿地で「余白をつくる家」をコンセプトにしたmisa_kurashi365さんの家は土地42坪、_____yusansanさんの家も42坪です。hebel_uni_hausさんにいたっては土地50坪の3階建てで、2階に中庭を持ってきています。

つまり、中庭は「広い土地の贅沢」ではなく「狭い土地で外を確保するための手段」として選ばれている。逆にウッドデッキは、庭が普通に取れた家が、その庭とリビングをつなぐために足している。土地の広さの向き先がまるで違います。

土地の広さと家の関係については注文住宅の土地探し|土地は何坪必要?で倍率の考え方をまとめています。あわせて読むと、自分の土地がどちら寄りかが判断しやすくなります。

逆張り②:中庭は語られる、ウッドデッキは語られない

家アカには「お家のこだわりポイント」を施主本人が自由に書く欄があります。有効な回答は181件。この自由記述に何が登場したかを数えました。

語られた言葉件数(181件中)
20件
中庭・パティオ15件
デッキ・テラス(全体)9件
BBQ/プール各6件
タイルデッキ4件
ウッドデッキ3件
バルコニー・ベランダ1件
虫/芝0件

採用率で見るとウッドデッキ・テラスは62本、タイルデッキは9本で、その差は約7倍。ところが施主が自分から書いた回数はタイルデッキ4件に対してウッドデッキ3件と、ほぼ並んでいます。数が多いほうが語られていない。

グループごとの「自分から語った率」を出すと、差はもっと露骨でした。

  • 中庭を作った32本のうち、こだわり欄で中庭に触れたのは12本=38%
  • デッキ系を作った71本のうち、デッキに触れたのは9本=13%

中庭は3軒に1軒以上が「これがうちの家の中心です」と書く。デッキは8軒に1軒しか書かない。残りの7軒にとって、デッキは家の説明に出てこない設備です。ここが「ウッドデッキは使わなくなる」と言われる現象の正体だと考えています。壊れたわけでも失敗したわけでもなく、話題に上がらない場所になっている

中庭のある家の実例|天窓から光が落ちる囲われた中庭
中庭は「庭」ではなく、窓を開けたままにできる壁

中庭で語られていたのは「庭」ではなく「カーテン」だった

では中庭を語った12軒は何を書いていたのか。読んでいくと、ガーデニングでも眺めでもなく、ほぼ全員が同じ一点に集約されていきました。カーテンです。

181件のうち「カーテン」に言及したのは7軒。そのうち5軒が中庭のある家でした。

囲われた中庭によってリビングにはカーテンが不要で、すっきりとした印象になっています。カーテンの代わりに障子を採用しています。(_____yusansanさん・土地42坪/延床30坪

住宅街でもカーテンレスで開放感のある暮らしに憧れていたので、2階ダウンフロアリビング・吹き抜けと中庭のあるLDKがお気に入りです。(hebel_uni_hausさん・土地50坪の3階建て

リビングに面した中庭でカーテンなしの完全プライベート空間が完成しました。(ma_home2さん・土地50坪

ほかにもruka_no_ieさんは「中庭のあるコの字の形のお家/カーテンレスで人目を気にせず生活できる」、ishi_i_noieさんは「大きな窓から見えるプライベート中庭」と書いています。nagi_no_ie01さんにいたっては、バレルサウナを置くために「完全プライベートな空間の中庭」を設計したうえで、BBQ用の庭を別に取っています。

整理すると、中庭の正体は「庭」ではなく「窓を開けたままにできる壁」です。住宅街の狭めの土地で、隣家と道路からの視線を切りながら大きな窓を開けたい。その要求を満たす方法が、外周に窓を並べることではなく、家の内側に外を作ることだった。土地が6坪狭かったのは偶然ではなく、必然でした。

これは以前の調査とも一致します。土地探しの記事で集計したとき、施主が住んでから語る条件の1位は駅距離ではなく「視線・人目」でした。中庭はその答えのひとつです。

ウッドデッキの後悔を防ぐ|ダイニングセットを置いた奥行きのあるウッドデッキ
使われるデッキは、奥行きとLDKとの接続で決まる

使われるデッキと、使われないデッキの分かれ目

デッキを語った9軒には、共通点が2つありました。

  • 9軒中5軒が「リビングとつながる」「大開口」「すぐ外に出られる」といった、LDKとの接続を書いている
  • 9軒中4軒が、プール・BBQ・ハンモック・子どもの遊び場という具体的な使う場面を書いている

平屋でコンパクトながらもLDKを広く取って(中略)リビングからすぐ外に出られるタイルデッキで子供の遊び場を確保しています。(yume_sumirinさん・延床29.5坪の平屋

リビングからつながるタイルデッキはプールやBBQも。(omegu-houseさん・土地50坪/延床34坪

大開口にタイルデッキを設けて、外との繋がりを感じるリビングにしたのがお気に入りです!(_11_aug_さん・延床32坪

逆に言うと、語られなかった62軒のデッキには、この2つが図面の段階で決まっていなかった可能性が高い。「南に掃き出し窓があるから、その外にデッキを付けておきましょう」で進むと、素材も広さもきれいなのに使う理由だけがない場所ができあがります。

デッキは「広さ」ではなく「奥行き」で決める

デッキの幅は、たいてい掃き出し窓の幅に合わせて自動的に決まります。施主が本当に決めるべきなのは奥行きです。ここが足りないと、何を置いても通路になります。

奥行きできること根拠になる実寸
90cm通路。人が通るだけ人がすれ違わずに歩く幅
120cm椅子を1脚置いて座れる椅子の奥行き55〜60cm+引く50cm
180cmテーブルを挟んで向かい合えるテーブル70〜80cm+椅子を引く50cm×2
240cm子どもプール・遊び場になる1.5×2m級のプール+横を歩く60cm

「2畳くらい」と言われて図面に落とすと、だいたい奥行き90cm前後になります。それは通路です。座りたいなら120cm、食事をしたいなら180cm。この数字を打ち合わせの最初に言えるかどうかで、そのデッキが8軒側になるか1軒側になるかが決まります。

もうひとつ、素材の話もデータが示唆しています。採用数はウッドデッキが圧倒的なのに、語りではタイルデッキが並んだ。裸足で出る・水をまく・プールを出すといった「実際に使う」動作と相性がいいのは、施主の記述を見るかぎりタイル側でした。予算の都合でどちらか選ぶなら、使う場面が具体的に書けているほうにコストをかけるのが合理的です。

中庭を選んだ家に、ほかに何が起きていたか

中庭あり32本/デッキのみ55本/どちらもなし105本の3グループで、ほかの採用率を並べました。差が出た項目だけ抜き出します。

項目中庭ありデッキのみどちらもなし
太陽光発電78%58%48%
回遊動線の家44%62%35%
広いリビングの家59%55%42%
パントリー63%51%48%
セパレートキッチン(独立型)28%15%11%
ガレージ(インナー/ビルトイン)13%2%4%
ホームシアター19%13%7%
シューズクローク59%71%47%
平屋25%31%24%

読み取れることが2つあります。

ひとつは、中庭のある家は「家に閉じる」方向に振れているということ。ガレージ13%(デッキのみ2%)、ホームシアター19%、独立型キッチン28%。いずれも外に出ずに家の中で完結させる装備です。外からの視線を切って内側に庭を作る発想と、まっすぐつながっています。太陽光78%という数字も、屋根と外皮にお金をかけた家であることを示しています。

もうひとつは、回遊動線だけが逆転していること。中庭あり44%に対してデッキのみ62%。中庭は家をコの字・ロの字に折り曲げるので、洗面からキッチンへ回り込むような短い回遊とは床を取り合います。「中庭を作ると動線が長くなる」という定番の指摘は、うちのデータでも裏づけが取れました。生活動線の間取りを優先したい人は、ここでトレードオフが起きることを先に知っておいたほうがいいです。

「虫」「掃除」は0件だった。ただし安心材料ではない

中庭の後悔として必ず挙がるのが、虫・掃除・大雨です。ところが施主の自由記述181件に、「虫」は0件、「芝」も0件。「掃除・メンテ」は10件ありましたが、中庭の文脈で書かれたものはほとんどありませんでした。

これは「問題が起きていない」という意味ではありません。過去の調査でも同じパターンが何度も出ています。書斎の調査ではコンセントと空調が、洗面所の調査では窓が、施主の語りにほぼ登場しませんでした(洗面所で窓に触れたのは160本中2軒だけです)。語られない項目は、自慢ポイントにならないだけで、打ち合わせで自分から言わないと標準仕様のまま流れていく危険ゾーンです。

中庭で言えば、そこにあたるのが排水です。ロの字・コの字の中庭は屋根の雨も内側に集まる構造になりやすく、逃げ場がないと室内側に水が回ります。設計段階で決めておくのは3点セットです。

  • 水勾配:中庭の床が排水口に向かって傾いているか
  • 排水溝・排水口の数:1か所だと落ち葉ひとつで機能を失う。複数か、目皿を掃除できる形か
  • オーバーフロー経路:一定の水位を超えたら敷地外へ抜ける管があるか

あわせて、中庭に面した窓が採光計算上どう扱われるかも設計士に確認しておくと安全です。囲まれ方によって、同じ大きさの窓でも評価が変わります。どの段階で何を詰めるかは注文住宅の進め方【保存版】にまとめています。

面積と法規:中庭もデッキも「床」ではないが「予算」ではある

費用の話をするときに混同されやすいので、面積の扱いを整理しておきます。

  • 1階の地面に作るウッドデッキは、屋根がなければ基本的に建築面積に含まれません。屋根があって3方向を壁で囲うと算入されます(屋根があっても3方向が開放で、建物からの出幅が2m以下なら除外される扱いもあります)。
  • 2階以上の張り出したデッキは、階下に柱や壁があったり3方を囲われていると建築面積に入ります。
  • 後から増築する場合、10㎡(約6畳)を超えると原則として建築確認申請が必要です。「あとで付ければいい」と考えている人は、この線を知っておくと判断が変わります。
  • 中庭は屋根がないので床面積には入りません。ただし中庭を囲む分だけ外壁と窓(サッシ)が増えます。中庭のコストの大半は、庭そのものではなくこの外皮です。

実際、中庭のある家の延床は35坪と3グループで最大でした。中庭は家を小さくして作られているのではなく、外周を伸ばして作られている。だから床面積を削る覚悟より、外壁・サッシ・防水の見積もりを見る覚悟のほうが要ります。費用の全体像は注文住宅の費用相場と予算の立て方を先に押さえておくと比較しやすくなります。

中庭とウッドデッキの選び方|大開口の窓がある明るいリビング
土地の倍率と視線で、中庭かデッキかを決める

中庭とデッキ、どっちにするか3ステップで決める

STEP1:土地の倍率を出す

土地の坪数 ÷ 建てたい延床の坪数。うちのデータでは中庭のある家が1.90倍、デッキのみの家が2.29倍でした。

  • 2.3倍以上=外に庭が残る。デッキ側で考えて問題ない
  • 1.9倍以下=外に取れる庭は駐車場と通路で消える。外を欲しいなら中庭側
  • その間=両方の可能性がある。次のSTEP2で決める

STEP2:土地の四方から、窓の高さで写真を撮る

中庭を選んだ家が語っていたのは全員「視線」でした。逆に言えば、四方の写真を見て隣家の窓や道路と正面衝突しないなら、中庭を作る動機の大半は消えます。庭が取れて視線も抜けるなら、素直にデッキのほうが安く早く広い。

STEP3:使う場面を「週◯回」で書く

語られたデッキ9軒のうち4軒が具体的な用途を書いていました。プール、BBQ、ハンモック、子どもの遊び場。「開放感がほしい」だけだと、それはリビングの窓や吹き抜けでも代替できてしまいます。週1回以上使う場面が書けないなら、その予算は断熱か収納に回したほうが満足度は上がります。

打ち合わせ前に決めておく5つの数字

  1. 土地 ÷ 延床の倍率(1.9倍以下なら中庭寄り、2.3倍以上ならデッキ寄り)
  2. デッキの奥行き(cm)(座るなら120、食事なら180、遊ぶなら240)
  3. 中庭を挟んで向かい合う壁の距離(m)(近いほど光は落ち、視線は室内どうしでぶつかる)
  4. 中庭の排水口の数とオーバーフローの位置(1か所しかない図面はその場で聞く)
  5. 掃き出し窓のサッシ種類(引き違いか大開口か。ここが最大の金額差になる)

この5つを最初の打ち合わせで出せると、「中庭って高いですよね」「デッキ付けますか?」という抽象的なやりとりが、金額と寸法の話に変わります。何をいつ聞くかは打ち合わせでやっておけばよかったことも参考にしてください。

まず、実際の家を見てから決める

中庭のある家の写真は、ほとんどが晴れた日の昼に撮られています。実際に住んでいる人がどんな土地で、何を優先して、その結果どこを気に入っているのか。それは間取り図より施主の言葉に出ます。

そのうえで、中庭やデッキを実際にやっている会社は限られます。得意な会社ほど、初回の打ち合わせで排水や視線の話が先に出てきます。気になる会社があれば、資料を取り寄せて比べてみてください(無料・しつこい営業はありません)。図面を描いてもらう前に、施工例の中庭が何m角なのかを見比べるだけでも、自分の土地で成立するかの感覚がつかめます。

※本記事の数値は、いえスタに掲載された家アカ192本(2026年9月時点)を1本ずつ集計したものです。100軒換算は192本を100に換算した値で、四捨五入しています。施主の声は本人が投稿した「こだわりポイント」欄からの引用です。

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