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こだわりは3行だけ。「家事動線を考えました」「玄関からすぐパントリーがこだわりです」「テレビうら収納もこだわりです」。@ki_n_ie さんの家は、5人家族の毎日を短くするために、買い物と片付けという2つの動きだけを徹底的に詰めた家です。
5人家族の家事量は、単純に人数に比例します。洗濯物も食器も買い物の量も、2人暮らしの2.5倍。そこで効くのは、豪華な設備よりも「1回あたりの手数を減らす配置」です。
この家が挙げているこだわりは、その意味でとても具体的です。玄関からすぐパントリーに入れること。テレビの裏に収納があること。どちらも派手ではありませんが、毎日発生する動きを、確実に数歩ずつ短くします。
そしてテイストはシンプル/ミニマル。5人家族で物が多くなる前提の家が、それでもミニマルを保てるのは、隠す場所を先に用意しているからです。いえスタ編集部はこの家を「買い物と片付けの2動線に絞って設計した家」と読みました。
施主のこだわりポイント
家事動線を考えました。
玄関からすぐパントリーがこだわりです。
テレビうら収納もこだわりです。
— @ki_n_ie さんの投稿より、編集部が引用
編集部メモ:この家を一言で言うと
「毎日の2つの動きだけを、徹底的に短くした家」。
家事動線を良くしたい、という要望はほぼすべての施主が口にします。ただ、それを具体的な場所として言える人は多くありません。この家は「玄関からすぐパントリー」と「テレビ裏収納」という2点に絞り込んでいます。
前者は買い物を運び込む動き。後者はリビングの物を片付ける動き。5人家族の日常で最も頻度が高い2つです。ここを短くできれば、他が多少不便でも生活は回ります。
逆に言えば、すべての動線を最適化しようとすると、どこかで矛盾します。キッチンを玄関に近づければリビングから遠くなり、収納を増やせば居室が狭くなる。優先順位を2つに決めたから、この家は迷わずに済んだのだと思います。
編集部が注目した3つのポイント
1. 「玄関からすぐパントリー」は、買い物の動線を丸ごと変える
5人家族の買い物は、量が多く重い。これを玄関からリビングを通ってキッチンまで運ぶと、そのたびに床が汚れ、途中で袋を置き、家族の動線とぶつかります。
玄関からパントリーへ直接入れる配置にすると、この一連が消えます。玄関→パントリー→キッチンという順路で、買ってきたものをその場で棚に移せる。リビングを経由しないので、床の汚れも、通り道の渋滞も発生しません。
再現するときのポイントは3つあります。①パントリーに扉を2つ設ける(玄関側とキッチン側)②幅は最低でも80cm、できれば90cm以上 ③棚は可動式に。通り抜けられる形にしないと、玄関側から入って戻る動きが発生して意味が半減します。
もう一点、シューズクロークと兼ねるかどうかを決めておいてください。土間続きにすると、玄関で靴を脱がずに食品を置けるので便利ですが、食品と靴が同じ空間に並ぶことになります。この家がシューズクロークとパントリーを別に持っているのは、そこを分けた判断と読めます。
2. テレビ裏収納は、ミニマルを維持するための装置
リビングでいちばん物が集まるのは、テレビまわりです。リモコン、ゲーム機、配線、書類、子どものおもちゃ。5人家族なら、その量は相当なものになります。
テレビ裏に収納を作ると、これらが視界から消えます。壁面をふかして奥に棚を作る、あるいは背面の部屋側から使える収納にする。「テレビの前に立ったときに何も見えない」状態を作れるかどうかで、リビングの印象は大きく変わります。
シンプル/ミニマルというテイストを選んだ家では、この効果がとくに大きい。色数と物を減らした空間ほど、残った生活用品が目立つからです。装飾の多い部屋なら埋もれるものが、ミニマルな部屋では全部見えます。
設計時に押さえたいのは、配線の逃がし方です。テレビ裏収納を作っても、コンセントとLAN・アンテナ端子の位置が合っていないと、結局ケーブルが表に出ます。テレビの設置高さ、コンセントの高さ、配線を通す穴の位置を図面で指定してください。ここは着工前にしか決められません。
3. 5人家族で40坪4LDK。子ども部屋の配分をどうするか
5人家族なら、子どもは3人と考えるのが自然です。4LDKだと主寝室+3室、あるいは主寝室+2室+1室(書斎など)。40坪で4LDKは、決して余裕のある配分ではありません。
この家が収納をシューズクローク・ファミリークローゼット・テレビ裏の3種類に絞っているのは、居室を確保するために収納を最小限にした結果とも読めます。逆に言えば、その3つは削れない場所として選ばれたということです。
5人家族で家を建てる方に伝えたいのは、子ども部屋を最初から3室に分けなくてもいいということです。子どもが小さいうちは広い1室として使い、必要になった時点で間仕切る。この方法なら、10年ほどは広い空間として使えます。
間仕切りを前提にする場合は、ドア・窓・照明・コンセントを分割後の数だけ最初に用意しておくこと。ここを省くと、後から工事が大掛かりになります。40坪という条件では、この「あとから分ける」設計が効いてきます。
この家から学べる、動線を絞り込む3つの判断軸
判断軸1:動線は「全部」ではなく「頻度の高い2つ」を選ぶ
家事動線・回遊動線・買い物動線・洗濯動線。全部を最適化しようとすると、必ずどこかで矛盾します。キッチンを玄関に近づければリビングから遠くなる——このトレードオフは避けられません。
この家のように「買い物」と「片付け」の2つだけと決めてしまえば、迷ったときの判断基準ができます。何を優先するかは家庭ごとに違うので、1日に何回発生するかを数えて決めるのが確実です。
判断軸2:ミニマルにするなら、隠す場所を先に作る
色数と物を減らした空間は、残った生活用品が強く目立ちます。ミニマルは「物を減らす」ことではなく「見えないようにする」ことで成立します。
テレビまわり、玄関、キッチン背面、洗面。この4か所に受け皿があるかどうかで、5年後の見え方が決まります。この家がテレビ裏収納を明示的にこだわりとして挙げているのは、その理解があるということです。
判断軸3:人数が多い家ほど「通り抜けられる」形にする
5人が同時に動く家では、行き止まりが渋滞を生みます。朝の洗面、帰宅時の玄関、夕方のキッチン。通り抜けられる収納・通り抜けられる水まわりにするだけで、待ち時間が減ります。
この家がパントリーを玄関とキッチンの間に置き、回遊動線を持っているのはその設計です。通路幅はすれ違いが発生する場所で90cm以上を目安にしてください。
延床40坪・土地85坪という条件を読む
延床40坪の2階建てに、土地85坪。5人家族としては標準的な建物規模で、土地には余裕のある配分です。
5人家族40坪は、居室優先だと収納が削られる
4LDKの標準構成に必要なのは28〜32坪。40坪なら8坪前後の余裕がありますが、5人家族では1部屋あたりを広めに取りたくなるため、その余裕は居室に吸収されがちです。
この家の収納がシューズクローク・ファミリークローゼット・テレビ裏の3種類にとどまっているのは、その結果でしょう。削れない3か所を選んだと読むほうが正確かもしれません。
パントリーを玄関側に置くと、キッチンの位置が決まる
「玄関からすぐパントリー」を成立させるには、玄関・パントリー・キッチンが一直線または近接している必要があります。結果として、キッチンは家の玄関寄りに配置されることになります。
これはメリットばかりではありません。キッチンが玄関に近い=リビングの奥から遠いという関係になるため、配膳やリビングとの一体感は犠牲になりやすい。この家が回遊動線を持っているのは、その距離を別ルートで補っている可能性があります。プランを検討するときは、キッチンからダイニングテーブルまでの歩数も一緒に確認してください。
土地85坪なら、駐車と外構に余裕が出る
建ぺい率60%なら建築面積は51坪まで。2階建てで延床40坪なら1階は20〜23坪前後なので、60坪以上が屋外に残る計算です。5人家族なら車2台+自転車のスペースも確保できます。
東北エリアであれば、除雪した雪の置き場も条件に入れておいてください。敷地に余裕がないと、シーズン後半に雪の行き場がなくなります。85坪あればこの点は問題になりにくい規模です。
5人家族が、この家の設計を再現するには
5人で40坪4LDK。人数に対して余裕は多くありません。効かせどころを整理します。
ファミリークローゼットは5人分の容量で計算する
3人家族で3〜4帖が目安なので、5人なら5〜6帖は見ておきたいところです。ハンガーパイプの有効長で1人1〜1.5mが目安になります。
それだけの面積を取れない場合は、季節ものだけを別の場所(階段下・小屋裏)に逃がすという分け方が現実的です。毎日使う衣類だけをファミリークローゼットに置ければ、時短効果は十分に得られます。
洗面は「2ボウル」または「洗面と脱衣を分ける」
5人家族で朝の時間帯がぶつかるのは、まず洗面です。1ボウルだと確実に渋滞します。この家が造作洗面台を採用しているので、幅を広く取って2ボウルにする、あるいは洗面と脱衣を別室にするという選択肢があります。
面積が取れない場合は、脱衣室だけを独立させるのが優先度として高い。誰かが入浴中でも洗面が使えるだけで、朝と夜の詰まりがかなり解消されます。
子ども部屋は「あとから分ける」を前提に
3人分の個室を最初から作ると、40坪では他が圧迫されます。広い1室として作り、必要になった時点で間仕切るほうが、使える期間が長くなります。
その場合、ドア・窓・照明・コンセントを分割後の数だけ最初に用意しておいてください。ここを省くと、後から壁を立てるだけでは済まなくなります。間仕切り工事の想定費用も、着工前に聞いておくと安心です。
建築会社を選ぶときに押さえたいこと
この家は投稿に建築会社の記載がありませんでした。そこで、玄関直結パントリーとテレビ裏収納を実現したい場合に、依頼先へ何を確認すべきかを整理します。
玄関→パントリー→キッチンの実例プランを見せてもらう
この配置は珍しくありませんが、キッチンの位置が玄関寄りに固定されるため、LDK全体の構成に影響します。実際に建てたプランを見せてもらい、キッチンからダイニングテーブルまでの距離がどうなっているかを確認してください。
あわせて、パントリーの幅(80〜90cm以上)と扉2か所の納まりも図面で確認します。
テレビ裏収納の配線計画を図面に落としてもらう
テレビの設置高さ、コンセントとアンテナ・LAN端子の位置、配線を通す穴。この4点が図面に入っていないと、完成後にケーブルが表に出ます。
壁をふかして奥行きを取る場合、その分だけ部屋が狭くなります。何cmふかすのかも確認しておいてください。
子ども部屋の間仕切りを前提にした仕様を確認する
あとから2〜3室に分ける可能性があるなら、ドア・窓・照明・コンセントを分割後の数だけ用意しておく必要があります。将来の間仕切り工事の概算費用も、この段階で聞いておくと判断しやすくなります。
加えて東北エリアであれば、UA値・C値の実測値と暖房計画も必ず確認してください。
- 玄関→パントリー→キッチンの実例プラン
- パントリーの幅(80〜90cm以上)と扉2か所の納まり
- キッチンからダイニングテーブルまでの距離
- テレビ裏収納の配線計画(高さ・端子位置・配線穴)とふかし寸法
- ファミリークローゼットの容量(5人分・ハンガーパイプ有効長)
- 洗面の2ボウル化、または洗面と脱衣の分離
- 子ども部屋の間仕切り前提の仕様と将来の工事費
- UA値・C値の実測値と暖房計画(寒冷地仕様)
建築会社が特定できない事例では、同じ仕様を別の会社で再現できるかどうかが焦点になります。上のチェックリストを持って複数社に当たると、対応できる会社が短時間で絞り込めます。
東北エリアで5人家族の家を検討する人へ|編集部メモ
東北エリアは暖房期間が長く、断熱性能の差が毎月の光熱費に直結する地域です。5人家族は在宅時間も長くなるため、その影響はさらに大きくなります。建築費だけでなく、35年分の光熱費を含めて比較する視点を持っておくと、性能への投資の判断がしやすくなります。
生活面では、冬の玄関まわりが効いてきます。5人分のコート、手袋、長靴、そして雪。玄関で濡れたものを処理できるかどうかで、家の中の快適さが変わります。この家がシューズクロークとパントリーを別に持っているのは、その意味でも合理的です。土間続きのシューズクロークにして、濡れたものをそこで止める——寒冷地では特に効く設計です。加えて、除雪した雪の置き場を敷地内に確保できるかも、土地選びの段階で確認してください。
よくある質問
Q. 玄関からすぐパントリーにするデメリットはありますか?
キッチンの位置が玄関寄りに固定されるため、リビングやダイニングとの距離が遠くなりやすい点です。配膳の歩数が増えたり、LDKの一体感が薄れたりする可能性があります。プランを見るときは「キッチンからダイニングテーブルまで何歩か」を必ず確認してください。回遊動線にして別ルートを作ると、この距離を補えます。
Q. パントリーの広さはどれくらい必要ですか?
通り抜ける形にするなら幅は最低80cm、できれば90cm以上。棚の奥行きを差し引いた通路幅で考えてください。奥行きは30〜40cmの可動棚が使いやすく、深すぎると奥の物が死にます。5人家族でまとめ買いをするなら、1.5〜2畳程度あると余裕があります。
Q. テレビ裏収納で失敗しやすい点は?
配線です。テレビの設置高さ、コンセントとアンテナ・LAN端子の位置、配線を通す穴。この4点を図面で指定しておかないと、完成後にケーブルが表に出て、せっかくの収納の意味が薄れます。壁をふかす場合は、その分だけ部屋が狭くなる点も確認してください。
Q. 5人家族で40坪は狭いですか?
居室を優先すれば成立しますが、収納にしわ寄せが行きます。この家が収納を3種類に絞っているのはその表れです。対策としては、子ども部屋を最初から3室に分けず広い1室として作り、必要になった時点で間仕切ること。10年ほどは広く使えますし、その間の面積の余裕を共用部に回せます。
Q. 建築会社が分からない事例でも参考になりますか?
なります。この家で再現価値が高いのは、動線を「買い物」と「片付け」の2つに絞り込んだ判断、玄関直結パントリーという配置、そしてミニマルを維持するために隠す場所を先に作るという考え方です。いずれも特定の会社に依存しません。本文中のチェックリストを持って複数社に相談すれば、対応できる会社は絞り込めます。
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編集後記
@ki_n_ie さんのこだわりは、3行しかありません。しかもそのうち2行は「玄関からすぐパントリー」「テレビうら収納」という、場所の名前だけです。
この短さがいいと思います。家事動線を良くしたいという要望は誰もが口にしますが、それを具体的な場所として言える人は多くありません。「動線を良くしたい」は設計者に丸投げになりますが、「玄関からすぐパントリーに入りたい」は図面に落とせます。
5人家族の毎日で、いちばん回数が多いのは何か。買ってきたものを運び込むこと、そして散らかったものを片付けること。そこを2つだけ選んで、そこにだけ手を入れた。全部をよくしようとしなかったから、この2つは確実によくなったのだと思います。
打ち合わせで要望が増えすぎて迷ったら、「1日に何回発生するか」で並べ替えてみてください。上から2つだけ選べば、この家と同じ進め方ができます。
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家事動線を考えました。
玄関からすぐパントリーがこだわりです。
テレビうら収納もこだわりです。


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