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玄関の間取りを考えるとき、多くの人がまず「何畳にするか」から入ります。ところが家アカ165本(100軒換算)の記事を読み直して集計すると、実際に建てた施主が玄関について語っていたのは畳数ではありませんでした。この記事では、次の3つを実データで整理します。
- 玄関の広さは「畳数」ではなく土間に置くものの寸法で決まる
- 家の大きさを左右するのは玄関に何を隣接させたか(隣接1つで約1.5〜2坪増える)
- 競合記事が必ず書く「方角」「姿見」「玄関の手洗い」は、施主の口からほとんど出てこない
玄関の間取りで最初に決めるのは、畳数ではなく「隣に何を置くか」
先に結論を書きます。玄関の満足度を決めていたのは、玄関そのものの広さではなく、玄関のとなりに何をつなげたかでした。
いえスタが取材した家アカ記事165本を全文検索して、玄関に「シューズクローク/洗面・脱衣/パントリー/ファミリークローゼット/階段」のどれが隣接しているかを1軒ずつ数えました。結果がこちらです(100軒あたりに換算)。
| 玄関に隣接させたものの数 | 軒数(100軒換算) | 延床面積の中央値 |
|---|---|---|
| 0個(玄関は独立) | 28軒 | 32坪 |
| 1個 | 45軒 | 34坪 |
| 2個 | 13軒 | 35坪 |
| 3個 | 12軒 | 36.5坪 |
| 4個 | 2軒 | 42坪 |
隣接を1つ増やすごとに、家が1〜2坪ずつ大きくなっています。4つ全部つなげた家は42坪。全体の中央値34.9坪と比べて7坪も差がありました。
これは「玄関まわりを便利にすると、その分どこかの床が増える」という当たり前の話です。でも打ち合わせの現場では、なぜかこの費用が見えません。坪単価80万円の会社なら、玄関に1つ隣接を足すたびに80〜160万円が乗る計算になります。SNSで見た「玄関からパントリーもファミクロも洗面もつながる家」を目指すなら、そのぶんの予算か、別の部屋を削る覚悟が要ります。
実際、隣接0〜1個で収めた家が100軒中73軒。多数派は「玄関に1つだけつなげる」を選んでいました。28坪に回遊動線とパントリーと書斎を収めた家のように、床を増やさずに解いた事例もあります。
家アカ100軒データ|施主が実際に語った玄関、語らなかった玄関
玄関の記事を検索すると、どのサイトもほぼ同じ章立てになっています。「方角別のメリット・デメリット」「玄関に姿見を」「帰宅後すぐ手を洗える手洗い場を」。ところが実際に建てた人の記事を数えると、話題の重心がまったく違いました。
| 玄関まわりで語られたこと | 軒数(100軒換算) |
|---|---|
| シューズクローク・土間収納 | 59軒 |
| 玄関と洗面・脱衣が近い | 19軒 |
| 玄関のそばに階段 | 13軒 |
| 玄関とパントリーが近い | 12軒 |
| 玄関とファミリークローゼットが近い | 12軒 |
| 土間・土間玄関・土間リビング | 9軒 |
| 玄関のニッチ・飾り棚 | 9軒 |
| 玄関の窓・採光 | 4軒 |
| 玄関の手洗い場 | 2軒 |
| 玄関の方角・向き | 1軒 |
| 姿見・玄関のコンセント・においや換気 | 0軒 |
方角を語った施主は、165軒分の記事で1軒だけ
これが一番の驚きでした。玄関の記事で必ず1章を占める「北向き・東向き・南向き・西向き」の話。取材した家アカで方角に触れていたのは、東向きに言及した1軒のみです。
理由を考えると納得できます。玄関の向きは、ほとんどの場合土地の接道方向で決まってしまうからです。北側の道路に接した土地なら玄関は北。そこから選べる余地は「同じ北面のどこに寄せるか」くらいで、施主が悩みどころとして記憶に残らない。だから住んだあとの語りに出てこない。
方角の情報が無意味というわけではありません。ただ優先順位としては最後です。土地が決まった時点で玄関の向きはほぼ確定していて、そこから設計者が動かせるのは「玄関を家のどの隅に置くか」。順番としては、土地→玄関の面→玄関に何をつなげるか、という流れになります。
姿見・コンセント・においの章は、施主の記事に一度も出てこなかった
「玄関に姿見を付けるべき」「玄関にコンセントを1個」「土間のにおいと湿気対策」。この3つは競合上位が揃って書いている定番項目ですが、165本の中で言及はゼロでした。
ゼロだから不要、という話ではありません。ただ、住んでから振り返って「これを語りたい」と思う優先度は低かった。限られた打ち合わせ時間で何から詰めるかを決めるなら、姿見の位置よりも先に、この記事の後半で挙げる寸法と隣接の話を詰めたほうが後悔は減ります。
なお玄関のコンセントについては、家アカでは玄関単体の話題としては出ませんが、家全体でのコンセント後悔は非常に多いテーマです。詳しくはコンセントの位置と数で後悔した実例にまとめています。

玄関の広さは畳数ではなく「土間の奥行き」から逆算する
一般的な目安として「玄関は3畳が標準」と書かれることが多いのですが、この3畳には土間(靴を脱ぐ土のところ)とホール(上がったところ)の両方が含まれています。同じ3畳でも、土間を広く取るかホールを広く取るかで使い勝手はまったく別物になります。
だから畳数で決めない。土間の奥行きを何cmにするかを先に決めて、そこから畳数を逆算します。基準になる寸法は3つです。
- 土間の奥行き120cm=最低ライン。玄関ドアが内側に開く分(約80cm)+大人1人が靴を脱ぐ足元。これを下回ると、ドアを開けたまま靴が脱げない
- 土間の奥行き140cm=快適ライン。2人が同時に靴を脱げる。傘をたたむ、宅配のサインをする余裕が生まれる
- ホールの幅90cm/120cm=90cmは1人が通れる幅。子どもとすれ違う、大きな荷物を抱えて通るなら120cm
この3つを決めてから畳数に置き換えると、こうなります。
| 玄関の畳数(土間+ホール) | おおよその内寸 | 入るもの・入らないもの |
|---|---|---|
| 1.5畳 | 約1.6m×1.4m | 土間の奥行きは100cm前後。薄型シューズボックスのみ。傘立てを置くと通路が詰まる |
| 2畳 | 約1.8m×1.8m | 土間の奥行き120cmが確保できる下限。3〜4人家族の最小構成 |
| 3畳 | 約1.8m×2.7m | 土間の奥行き140cm+0.8畳ほどのシューズクロークが同居できる |
| 4畳 | 約2.7m×2.7m | 土間にベビーカーか自転車1台、加えて1.5畳のシューズクローク |
自転車やベビーカーを土間に置くなら、奥行き200cmが要る
「土間に自転車を置きたい」と言う人は多いのですが、寸法を当てはめると想像より場所を食います。
- クロスバイク:長さ約180cm×幅約60cm。壁付けで置くだけで土間の奥行きは200cm必要(1.2m×2m=約1.5畳を自転車1台が消費する)
- A型ベビーカー:長さ約90cm×幅約50cm。折りたたんでも立てかけスペースが60×100cmは要る
- ゴルフバッグ:立てて置けば直径40cm程度。ただし出し入れの手が入る幅がもう20cm
靴の量については、棚1段90cmに大人の靴が約4足。4人家族なら25〜35足が目安なので、30足なら8段=有効延長7.2mが必要になります。この数え方はシューズクロークで後悔しないためにで詳しく解説しています。

土間のある家15軒を調べたら「趣味が先にあった家」だけだった
土間玄関・土間リビングは検索でも人気のキーワードです。家アカでは165本中15本(100軒中9軒)が土間に言及していました。この15軒と、それ以外の150軒を比べると、はっきり差が出ました。
| 土間あり(15軒分) | 土間なし(150軒分) | |
|---|---|---|
| 延床面積の中央値 | 37.6坪 | 34.9坪 |
| 自転車への言及 | 27% | 3% |
| アウトドア・キャンプ・ゴルフへの言及 | 20% | 6% |
| 平屋率 | 33% | 30% |
読み取れることは2つあります。
ひとつは、土間のある家は平均より2.7坪大きいこと。坪単価80万円なら約200万円分の床です。土間は「余った空間を有効活用」ではなく、明確に面積を買い足している。
もうひとつは、土間を作った家は先に置くものが決まっていたこと。自転車への言及が9倍、アウトドア用品が3倍以上。38.5坪・4LDKで土間玄関を中心に据えた家や44坪の土間リビング×薪ストーブの家のように、土間に置くものと使い方が具体的にある家が採用しています。逆に「なんとなく土間があるとおしゃれ」で作ると、2.7坪ぶんの費用に対して、靴と傘しか置かれていない土間ができあがります。
一方で平屋率はほぼ同じでした。「土間は平屋に合う」というイメージがありますが、データ上は2階建てでも同じ割合で採用されています。平屋か2階建てかで悩んでいる人は平屋と2階建ての比較記事もあわせてどうぞ。
玄関に隣接させるものは2つまで。優先順位の決め方
先ほどの表のとおり、隣接を増やすほど家は大きくなります。予算が無限でないなら、玄関につなげるものは2つまでに絞るのが現実的です。では何を選ぶか。判断軸は「1日に何回そこを通るか」です。
- シューズクローク(100軒中59軒):靴を土間側に逃がせるので、玄関ホールがすっきりする。採用率が突出して高い。ただし通り抜け型にすると棚が片面だけになり、収納量が半分に落ちる
- パントリー(12軒):買い物袋を持ったまま最短でしまえる。買い物の頻度は洗濯より多い家庭が多く、実利は大きい。玄関からすぐパントリーにつなげた40坪の家が好例
- 洗面(19軒):帰宅後の手洗いのため。ただし来客時に洗面が丸見えになる問題とセット。洗面所で後悔したのはどこ?で扱っている「分ける・分けない」の判断が絡む
- ファミリークローゼット(12軒):上着をリビングに持ち込まずに済む。ただし洗濯動線とセットで考えないと、2階に洗濯機がある家では効きが弱い
- 階段(13軒):2階へ最短。一方で来客が階段下を通る配置になりやすい
実データを見ると、シューズクロークを採用した家(98本)は、していない家(67本)に比べて回遊動線が56%対39%、パントリーが66%対49%、ファミリークローゼットが61%対48%と、軒並み高くなっていました。ところが延床面積の中央値はどちらも約35坪で同じです。
つまりシューズクロークのある家は「広いから作れた」のではなく、収納を家じゅうに分散させる設計を選んだ結果として玄関にも収納が来ている。玄関単体で考えるのではなく、収納計画全体と生活動線の中で決めるほうが、同じ面積でも満足度が上がります。
もし今の段階で「うちはどのくらいの広さの家になるんだろう」がまだ見えていないなら、先に総額の目安をつかんでおくと玄関の判断も早くなります。気になる会社があれば資料を取り寄せて、標準仕様でどこまで含まれるかを見比べてみてください。資料請求はこちら(無料・しつこい営業なし)。
玄関の間取りでよくある後悔5パターン
1. 土間の奥行きが足りず、ドアを開けたまま靴が脱げない
もっとも多いのがこれです。図面上は「2畳の玄関」でも、土間が奥行き100cmしかないケースがあります。内開きのドアが約80cm動くので、残り20cm。宅配便を受け取りながら子どもが靴を脱ぐ、が成立しません。図面で土間だけの寸法を必ず確認してください。
2. シューズクロークの入口が玄関の正面にある
扉なしで作る家が多いのですが、ドアを開けた来客の目線の先に収納があると、常に片づけ続ける生活になります。扉を付けるより、入口の向きを90度振るほうが安く効きます。
3. 玄関を広くしたぶん、LDKか階段まわりが削れていた
玄関は面積の勝負に見えて、実は1階の限られた床の取り合いです。玄関を1坪広げれば、その1坪はLDKか水まわりから来ています。家の広さで後悔した場所のデータでも、狭くて後悔した場所として玄関が上位に入る一方、玄関を広げすぎた結果リビングが窮屈になった例もありました。
4. 玄関に窓がなく、昼でも照明が要る
玄関の窓・採光に触れていたのは100軒中4軒と少数派ですが、触れた家はいずれも「入れてよかった」側でした。北向き玄関になる場合は、ドアの採光ガラスかホールの高窓を1つ検討する価値があります。
5. 上がり框の位置を最後まで決めていなかった
段差は一般に18〜20cm。ここが斜めか直線か、幅がどれだけあるかで、家族が並んで靴を履けるかが変わります。土間の面積が同じでも、框の長さが90cmと180cmでは体感がまったく違います。図面では線1本の扱いなので、打ち合わせで意識的に聞かないと決めきれないまま進みます。

打ち合わせ前に決めておく5つの数字
- 家族全員の靴の総足数(棚1段90cmに大人の靴4足で換算)
- 土間に置きたい靴以外のもの、その最大寸法(自転車180cm/ベビーカー90cm/ゴルフバッグ130cm)
- 土間の奥行き(120cmで足りるか、140cm欲しいか)
- 玄関に隣接させるものを2つ(SC・パントリー・洗面・ファミクロ・階段から)
- 玄関の位置(土地の接道方向を確認する。方角の議論はここまで来てから)
この5つを紙に書いて持っていくと、初回のプラン提案が「なんとなく3畳の玄関」ではなくなります。逆に言えば、これを決めずに図面を見ても、判断する基準がないので直しようがありません。
次にやること
玄関の広さは、家全体の面積配分の問題です。まずは似た坪数の家が玄関にどれだけ割いているかを見るのが早い。30坪台の間取り実例や間取りタイプ別のアーカイブから、自分の予算に近い家を3軒ほど選んで、玄関まわりだけを見比べてみてください。家事ラク動線の家 実例10選も、玄関から先の動線を掴むのに向いています。
そのうえで、実際にどの会社ならその玄関が作れるのかは、標準仕様と坪単価を並べないと分かりません。土間の広さもシューズクロークの棚も、標準に含まれる会社とオプションの会社があります。気になる会社の資料を2〜3社取り寄せて、同じ条件で比べるところから始めるのが確実です。
玄関以外の後悔もまとめて先回りしておきたい人は、家アカ100軒に聞いた後悔TOP10/やってよかったTOP10と間取りで後悔しやすい7つのポイントもどうぞ。
玄関の広さと収納を、間取りプランで比べる 土間やシューズクロークの取り方は、会社によって提案が変わります
※複数社の間取りと見積もりをまとめて比較できます


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