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床も天井も建具も、そして家具まで無垢材。@minami.no.ie さんの家は、素材をひとつに絞り切ったナチュラルモダンです。約38坪の4LDKに、回遊動線とファミリークローゼット、太陽光+蓄電池。素材の統一という感性の判断と、動線と性能という実務の判断が、きれいに両立している事例です。
「無垢材が好き」という家は珍しくありません。ただ、実際にできあがった家を見ると、床だけ無垢で、建具は既製品、家具は量販店、というケースがほとんどです。予算とメンテナンスを考えれば、それが現実的な落としどころだからです。
この家が特徴的なのは、床・天井・建具・家具まで、無垢材でそろえ切っている点です。ここまで徹底すると、部屋ごとの素材の切り替わりがなくなり、家全体がひとつの素材でつながって見えます。「植物と器が大好き」という言葉のとおり、そこに置くものが主役になる器としての家になっています。
一方で、間取りと設備の選び方は非常に実務的です。回遊動線、家事ラク動線、ファミリークローゼット、太陽光+蓄電池、ZEH。感性で選んだ部分と、計算で選んだ部分がはっきり分かれているのがこの家の構造で、それが再現しやすさにつながっています。順に見ていきます。
施主のこだわりポイント
無垢の家にこだわりました。
床や天井、建具はもちろん、家具もできる限り無垢材を採用しています。植物と器が大好きです。
— @minami.no.ie さんの投稿より、編集部が引用
編集部メモ:この家を一言で言うと
「素材を1つに絞り、動線と性能は数字で決めた家」。
ナチュラル系の家が散らかって見えるいちばんの原因は、木の種類と色味が混ざることです。床は突板、建具はシート、家具はオーク調——それぞれ単体では悪くなくても、並ぶと視覚的なノイズになります。この家は無垢材で統一することで、色調を合わせるという作業そのものを不要にしています。
そして、そこに植物と器を置く。素材が一種類だからこそ、置いたものの色と形が際立ちます。飾るための家ではなく、飾りたいものがある人のための家という組み立てです。
間取り側は徹底して合理的で、回遊動線とファミリークローゼットで家事の移動を圧縮し、太陽光と蓄電池で光熱費を抑えにいっています。好みと実利のどちらも譲っていません。
編集部が注目した3つのポイント
1. 無垢材を「床だけ」で終わらせず、天井・建具・家具までそろえた
無垢材は、部位によって求められる性能が違います。床は硬さと摩耗への強さ、天井は軽さ、建具は反りにくさ、家具は加工のしやすさ。そのためすべてを無垢でそろえようとすると、樹種と加工を部位ごとに検討する必要があります。この家がそこまでやり切っているのは、材木を扱い慣れた会社との組み合わせがあってこそでしょう。
効果として大きいのは、視覚的な統一感です。素材の切り替わりがないため、部屋の境界が曖昧になり、実際の面積より広く感じられます。色を合わせるのではなく、素材そのものを同じにする——これは合板やシート材では再現できない仕上がりです。
実務的な注意点も挙げておきます。無垢材は湿度で伸縮するため、季節によって隙間が出たり戻ったりします。これは不具合ではなく性質ですが、知らずに引き渡しを受けると「施工不良では」と不安になります。契約前に、伸縮の目安と、床鳴りが出た場合の対応方針を確認しておくと安心です。
メンテナンスも前提として組み込んでおくべきです。オイル仕上げなら数年ごとの塗り直しが必要で、そのぶん傷が味になっていきます。ウレタン塗装なら手間は減りますが、質感は硬くなります。どちらを選ぶかは、手をかけたいかどうかで決まります。
2. ファミリークローゼット+回遊動線で、洗濯の「しまう」を消している
この家は、ウォークインクローゼット・シューズクローク・ファミリークローゼット・階段下収納と、収納を4種類持っています。注目すべきはファミリークローゼットで、家族全員の衣類を1か所に集めるという考え方です。
洗濯という家事は、洗う・干す・たたむ・しまう、の4工程です。このうちもっとも時間を食うのが「しまう」で、家族の人数ぶんだけ部屋を回る必要があるからです。ファミリークローゼットは、この工程を1か所に置くだけに圧縮します。
そこに回遊動線が加わると、さらに効きます。洗濯機→干す場所→ファミリークローゼットが一周の上に並んでいれば、引き返す動きがゼロになります。「家事ラク動線」と「回遊動線」を両方選んでいるということは、この並びを設計時に確認しているということです。
導入を検討するなら、置き場所が肝心です。ファミリークローゼットは洗濯機のある階に置くのが原則で、1階で洗って2階のクローゼットに運ぶ形にすると、効果の大半が消えます。この家が4LDK・38坪という余裕のある規模でこれを実現している点は、間取りを考えるうえで参考になります。
3. ウッドデッキ・ペットスペース・ワークスペースを「余白」として持っている
4LDKで約38坪。3人家族に対して、居室数にも面積にも余裕があります。その余白の使い方が、この家のもうひとつの特徴です。ウッドデッキ・テラス、ペットスペース、ワークスペース、書斎。いずれも「なくても住める」場所ばかりです。
ですが、生活の質を決めるのはこの種の場所です。とくに植物が好きな家では、ウッドデッキは室内と庭の中間として機能します。鉢を一時的に置く、土いじりをする、雨の日に取り込む。室内に土を持ち込まずに植物と付き合うための緩衝地帯になります。
ペットスペースを最初から間取りに組み込んでいる点も見逃せません。後付けでケージを置くと、たいていリビングの一角が占領されて動線が悪くなります。あらかじめ場所を決めておけば、掃除のしやすさと動線の両方を設計に織り込めます。
ワークスペースと書斎を別に確保している点も、3人家族としては手厚い構成です。在宅勤務が定着した今、「働く場所」を寝室やリビングと兼用しないことは、家の満足度に直結します。余白があるなら、まずここに割り当てるのが実利的です。
この家から学べる、素材で失敗しないための3つの判断軸
判断軸1:木を使うなら、樹種と仕上げを先に1つ決める
ナチュラル系の家でいちばん多い失敗は、打ち合わせのたびに違う木目を選んでしまうことです。床はオーク、建具はメープル調のシート、造作棚はパイン。どれも「木っぽい」のですが、色温度と木目の粗さが違うため、並ぶと落ち着きません。
対策は単純で、最初に樹種と仕上げを1つ決め、以降はそれを基準に判断することです。この家のように無垢材で統一できれば理想的ですが、予算的に難しければ「床は無垢、その他は床に合わせた色で統一」でも効果は十分あります。決めるのは早いほど楽になります。
判断軸2:好みで選ぶ場所と、計算で選ぶ場所を分ける
この家の構成は、その分け方が明快です。素材は好み、動線と性能は計算。両方を「好み」で決めようとすると予算が破綻し、両方を「計算」で決めると住んでいて楽しくない家になります。
おすすめは、最初に「絶対に譲らないもの」を1つか2つだけ決め、それ以外は数字で判断すると割り切ることです。この家なら無垢材がそれにあたります。譲らないものが決まっていると、残りの判断が驚くほど速くなります。
判断軸3:メンテナンスの手間は「好きかどうか」で選ぶ
無垢材、オイル仕上げ、植物。この家が選んでいるものは、いずれも手をかけることが前提のものです。放っておいても綺麗なままではありません。
これは欠点ではなく、選び方の問題です。手をかけるのが好きな人にとっては、経年で変わっていくことが価値になります。逆に手間を増やしたくない人が同じ仕様を選ぶと、数年で後悔します。カタログで比べるべきは見た目ではなく、5年後に自分がその手間を続けているかどうかです。
延床約38坪・土地約55坪という条件を読む
延床38坪の4LDKに、土地55坪。九州エリアの郊外としては標準的か、やや余裕のある配分です。この数字が何を可能にしているのかを整理します。
38坪4LDKは、収納を4種類持てるサイズ
4LDKの標準的な構成は、LDK16〜20帖+主寝室+子ども部屋2室です。これだけで32〜34坪ほど。残りの4〜6坪をどう使うかで、家の性格が決まります。
この家はそこをファミリークローゼット、シューズクローク、階段下収納、ワークスペースに割り振っています。居室を1つ増やすのではなく、収納と機能に分散させたという判断です。3人家族で4LDKなら居室は足りているので、この配分は理にかなっています。
土地55坪は「ウッドデッキと駐車場が両立する」ライン
建ぺい率60%なら建築面積は33坪まで。2階建てで延床38坪なら、1階の建築面積は20〜22坪程度に収まります。残る30坪強を駐車場と外構に配分できる計算です。
ウッドデッキ・テラスを設けるには、掃き出し窓の外に最低でも2〜3坪の余地が要ります。55坪という土地は、駐車2台とウッドデッキを両立できるぎりぎり快適なラインです。これより狭くなると、どちらかを諦めることになります。
無垢材は面積が増えるほど費用差が効く
無垢フローリングと突板・シート系の差は、材種にもよりますが、㎡単価でおおむね数千円から。38坪=約126㎡の床すべてを無垢にすると、その差額はまとまった金額になります。建具や造作まで広げれば、さらに開きます。
逆に言えば、面積が小さい家ほど無垢材のハードルは下がります。予算的に迷うなら、「LDKと廊下だけ無垢、個室は別」という段階的な採り方も現実的です。目に入る時間の長い場所から入れるのが定石です。
3人家族が、この家の設計を再現するには
3人家族で4LDK・38坪。居室に余裕があるぶん、割り当てを決めておかないと使われない部屋が生まれます。この家の配分から、再現できる考え方を取り出します。
ファミリークローゼットは「子どもが小さいうち」がいちばん効く
家族全員の衣類を1か所にまとめる方式は、子どもが自分で片付けを始める前の時期にもっとも効果を発揮します。親が全員ぶんをしまうからです。
逆に子どもが大きくなると、自室に置きたがるようになります。将来ファミリークローゼットを別用途に転用できるかを、設計時に確認しておくと無駄になりません。可動棚とハンガーパイプで構成しておけば、書斎やストックルームへの転用は容易です。
ワークスペースと書斎は「用途を分ける」と続く
この家はワークスペースと書斎を別に持っています。名前は似ていますが、役割を分けると使い分けができます。たとえばワークスペースは家族の目が届く場所で短時間の作業、書斎はこもって集中する場所、という具合です。
1つしか作れない場合は、こもる側を優先するのが無難です。短時間の作業はダイニングでも代替できますが、集中はどこでもというわけにいきません。
ペットと無垢材は、傷の扱いを先に決めておく
ペットスペースと無垢材を両立させる場合、爪による傷は避けられません。ここで方針を決めておくと後が楽です。傷を味として受け入れるならオイル仕上げ、極力避けたいなら硬い樹種+ウレタン塗装、あるいはペットの動線だけ別素材という3択になります。
この家がどれを採っているかは投稿からは分かりませんが、無垢材と植物とペットを同居させている以上、経年変化を許容する方向で設計されていると読むのが自然です。同じ構成を目指すなら、この点は最初に家族で合意しておいてください。
谷川建設で建てるときに押さえたいこと
谷川建設は九州を地盤に、木材、とくに檜をはじめとする無垢材を用いた家づくりを特徴とする住宅会社です。この家の「無垢材で統一する」という方向性は、その強みと正面から噛み合っています。検討時に確認したい点を挙げます。
標準で使える樹種と、部位ごとの選択肢を確認する
「無垢材の家」と一言で言っても、標準仕様に含まれる樹種と、オプション扱いになる樹種があります。床・天井・建具・造作それぞれで何が標準かを一覧で出してもらうと、見積もりの前提が揃います。この家のように家具まで含めたい場合は、造作家具の対応範囲も同時に確認してください。
伸縮・床鳴りへの考え方と、引き渡し後の対応を聞く
無垢材は湿度で動きます。良い会社ほど、この点を隠さず最初に説明します。「動きません」と言う会社より、「これくらい動きます、その場合はこう対応します」と言う会社のほうが信頼できます。定期点検の頻度と、床鳴りが出た場合の対応が有償か無償かも確認しておきましょう。
ZEH・太陽光・蓄電池の実績を数字で確認する
無垢材を得意とする会社が、同時に高い断熱性能を確保できるかは会社によって差が出ます。UA値・C値の実測値、ZEH実績の棟数、太陽光と蓄電池の標準採用率を聞いてください。この家が太陽光+蓄電池+ZEHを揃えている以上、対応実績はあると考えられますが、自分の敷地条件での数字は別途出してもらう必要があります。
- 標準仕様に含まれる樹種と、部位ごとの選択肢
- 造作家具の対応範囲と、費用の目安
- 無垢材の伸縮・床鳴りに対する説明と、引き渡し後の対応
- 仕上げ(オイル/ウレタン)の選択肢と、再塗装の周期・費用
- UA値・C値の実測値、ZEH実績の棟数
- 太陽光の想定発電量と、蓄電池の容量・停電時の使える回路
- ファミリークローゼットを含む回遊動線プランの実績
- ウッドデッキの樹種と、メンテナンス周期
無垢材を扱う会社は、木の話になると熱量が上がります。上のチェックリストで性能とメンテナンスの数字にも同じ熱量で答えられるかを見ると、会社の総合力が判断できます。
九州エリアで無垢材の家を検討する人へ|編集部メモ
九州は木材の産地が近く、無垢材を扱う住宅会社が比較的多い地域です。産地が近いということは、樹種の選択肢が多く、実物を見て選びやすいということでもあります。ショールームや製材所の見学ができるかを聞いてみると、会社の姿勢がよく分かります。
気候面では、湿度と台風が判断材料になります。湿度が高い地域では無垢材の伸縮幅も大きくなるため、床の張り方(隙間の取り方)と、通年の除湿計画を確認しておきたいところです。この家がZEH仕様で太陽光と蓄電池を備えているのは、夏場のエアコン稼働を前提にすれば理にかなっています。また、ウッドデッキは台風の影響を受けやすいため、樹種と固定方法、そして数年ごとの点検を前提に計画してください。
よくある質問
Q. 無垢材の床は傷がつきやすいと聞きますが、実際どうですか?
つきます。とくに針葉樹(杉・檜・パインなど)は柔らかく、物を落とすとへこみます。ただし無垢材はへこんでも表面を削り直せるため、長期で見れば復旧できる素材です。傷を避けたいなら、オークやチークなどの広葉樹+ウレタン塗装という組み合わせが現実的です。ペットや小さなお子さんがいる場合は、樹種と仕上げを最初に相談してください。
Q. 無垢材にすると建築費はどれくらい上がりますか?
樹種と仕上げ、そしてどこまで使うかで大きく変わるため、一概には言えません。目安として、床だけを無垢にする場合と、建具・造作まで広げる場合では、対象面積が数倍違います。予算に上限があるなら、目に入る時間の長いLDKから採用し、個室は別素材にする段階的な採り方が有効です。見積もりは「無垢材にした場合の差額」として出してもらうと比較しやすくなります。
Q. ファミリークローゼットは何帖くらい必要ですか?
3人家族なら3〜4帖が目安です。ハンガーパイプの有効長で考えると、1人あたり1〜1.5mを確保できると余裕があります。重要なのは広さより洗濯機と同じ階にあることで、階をまたぐと時短効果の大半が失われます。可動棚で構成しておくと、子どもの成長に合わせて中身を組み替えられます。
Q. 太陽光と蓄電池は、無垢材の家でも意味がありますか?
素材と設備は別の話なので、意味は変わりません。むしろ無垢材の家は湿度管理のためにエアコンを通年で使うことが多く、電力の自家消費が増えます。その点では相性が良いと言えます。この家がZEH仕様で両方を備えているのは、光熱費の面でも合理的な選択です。
Q. 同じ谷川建設の事例をもっと見るには?
いえスタでは施工会社別に事例を絞り込めます。谷川建設の家アカ一覧から、間取り・坪数・テイスト別に比較できます。同じ会社でも施主によって無垢材の使い方が違うので、複数見比べると自分に合う採り方が見えてきます。
同じ条件の家アカをもっと見る
編集後記
@minami.no.ie さんのこだわり文は、たった3行です。無垢の家にこだわった。床も天井も建具も、家具もできる限り無垢材。植物と器が大好き。
短いのに、この3行だけで家の方向性が全部わかります。好きなものが明確な人の家は、説明が短くて済むのだと思います。逆に、たくさん説明しないと伝わらない家は、途中でいくつも妥協が入っている可能性があります。
家づくりの打ち合わせが長引いて疲れてきたときは、自分の家を3行で説明できるか試してみてください。書けなければ、優先順位がまだ決まっていないということです。先に決めるべきは、間取りではなく、その3行のほうです。
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- 家事ラク動線 | ワークスペース付き | 回遊動線の家 | 子ども部屋がある家 | 宅配ボックス | 書斎・ワークスペース | ウッドデッキ・テラス | ペットスペース
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- 3人家族
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無垢の家にこだわりました。
床や天井、建具はもちろん、家具もできる限り無垢材を採用しています。植物と器が大好きです。


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